JICA緒方研究所

ニュース&コラム

アジアの中小企業振興について15ヵ国の研究者らが議論

2015年12月14日

アジア地域が成長するなか、望ましい中小企業政策とは何か。この課題について、研究者や政府関係者らが話し合う「Workshop on SMEs in Developing Asia: New Approaches to Overcoming Market Failures(アジア開発途上国の中小企業に関するワークショップ:市場の失敗を克服するための新たな方法)」が2015年11月19~20日、東京で開かれました。JICA研究所の北野尚宏副所長が開会あいさつを述べ、細野昭雄JICA研究所シニア・リサーチ・アドバイザー(SRA)が、中小企業と成長の質との関連について事例をもとに発表しました。

細野昭雄JICA研究所シニア・リサーチ・アドバイザー
発表する細野昭雄JICA研究所
シニア・リサーチ・アドバイザー

ワークショップは、アジア開発銀行研究所、JICA研究所、経済産業省中小企業庁、一般社団法人CRD協会が共催しました。

 

アジア諸国の多くでは、企業数に占める中小企業の割合が全体の95%以上、従業員数では全体の約50~80%を占めていると推定されています。中小企業支援を目的としたさまざまな政策が策定されてきましたが、政策が必ずしも中小企業に有利に働くとは限りません。公的資金への依存を生むことによって、中小企業の自立的な運営が妨げられる場合もあります。

 

北野副所長は開会あいさつで、ミャンマーでのツー・ステップ・ローンやタイでの「地方レベルの統合中小企業支援普及プロジェクト」など、開発途上国の中小企業支援を目的としたJICAの協力事例をいくつか紹介しました。

 

セッション1「アジア諸国における中小企業の重要性」で、細野SRAは「Impact of SME policy on the quality of growth: The Cases of Thailand and Mexico(中小企業政策が成長の質に与える影響:タイとメキシコの事例)」のテーマで発表しました。

 

メキシコの自動車部品工場
メキシコの自動車部品工場
(写真:今村 健志朗/JICA)

細野SRAはまず、中小企業が機会と"capacity nexus"(社会全体の能力の向上)の創出に果たす役割を強調しました。続いて、JICAのタイとメキシコの自動車産業への協力を例に、JICAが両国の自動車産業の発展段階に合わせ、ニーズに応じたタイムリーな協力を提供してきたことを示し、中小企業政策が成長の様々な側面に与える影響について説明しました。そのうえで、次のように指摘しました。

 

「中小企業が国内市場、国際市場に参入し、サプライチェーンの形成を促すためには、包括的なアプローチが必要です」

 

セッション6「銀行、投資、およびその他の問題」では、上田隆文JICA国際協力専門員が、「SME development support: A view from an aid practitioner(中小企業の発展支援:援助実務者の視点)」のテーマでプレゼンテーションを行いました。上田専門員は、産業クラスター形成の重要性を指摘するとともに、中小企業が技術革新を実践していくためには技術的な知識と経営に関する知識の両方が必要になると話しました。

 

日時2015年11月19日(木) ~ 2015年11月20日(金)
場所東京



開催情報

開催日時2015年11月19日(木)~2015年11月20日(金)
開催場所東京

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