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UNIDOセミナーで細野SRAが技術革新とレジリエンスの重要性を強調

2016年1月8日

国際連合工業開発機関(UNIDO)主催のセミナー"Partner for Prosperity"が12月18日、東京の国連大学で開催され、JICA研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザー(SRA)がパネリストとして討議に参加しました。

発表する細野SRA

本セミナーは『工業開発報告書(Industrial Development Report:IDR) 2016』の発刊を記念して開かれました。第一部では『IDR 2016』の内容をテーマに、その意義や調査結果、政策への示唆について執筆者陣が解説するとともに、研究機関や大学機関の専門家によるパネルディスカッションを開催。第二部では、UNIDO東京事務所が行ってきた活動事例が紹介されました。会場には、約120人が集まりました。

『IDR 2016』は、UNIDOが推進する「包摂的かつ持続可能な産業開発(Inclusive and Sustainable Industrial Development:ISID)」において技術革新が果たすべき役割をテーマとしています。「開発途上国における技術変化が構造変化を引き起こし、長期的に社会的包摂性を維持し、環境に優しい持続可能な工業開発を実現するには、どのような条件が必要なのか」を取り上げています。

細野SRAが参加したのは、Ludovico Alcorta氏(UNIDO研究・統計・産業政策部長)がモデレーターを務めた第一部のパネルディスカッション。福西隆弘氏(日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センターアフリカ研究グループ長)、大坪滋氏(名古屋大学大学院国際開発研究科経済開発政策・開発マネジメントプログラム代表)、 Nicola Cantore氏(UNIDO研究・統計・産業政策部 工業開発研究官)と共に、『IDR2016』の内容について意見を交わしました。

ペルーでの地デジ活用のための説明 (写真:岡原功祐/JICA)

この中で、細野SRAは、イノベーティブ・ソリューションに基づく、低コストの低所得者向け耐震住宅、日本方式の地上デジタル放送による早期警報システム、災害に強いインフラの建設などを例に挙げ、レジリエンス(強靭性)の強化を目指す産業の発展の重要性を強調。災害に対する体制強化、防災の主流化などを視野に入れた、日本が強みを持つ分野での貢献を訴えました。さらに、イノベーションの促進のための事例として、JICAが取り組んできたカイゼンや中小企業支援に関する技術協力などについても紹介しました。

また、モデレーターのAlcorta氏は、パネルディスカッションに先立つ『IDR 2016』の政策面に関するセッションで、「包摂的かつ持続可能な産業開発において技術革新が果たす役割」を発表。技術革新は雇用の機会を減らすのではなく、新たなセクターでの新たな雇用を生み出す可能性があると説明しました。そして、包摂的な雇用を確保するためには、教育による技術力の向上と技術開発を促進するための新たな政策が求められると述べました。

細野SRAはセミナーについて「SDGはその目標9で産業発展、イノベーション、インフラを挙げている。SDGへの関心が高まる中で、このセミナーはタイムリーかつ示唆に富むものであったと思う。ただ、SDGのコンテクストの中で、産業発展を考えるに際しては、包摂性、持続性とならんで、強靭性にもよりフォーカスすべきだ」と話しています。

関連動画

「Interview with Ludovico Alcorta, director of DPR, UNIDO」(JICA研究所公式チャンネル)

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