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南米チリのサケ輸出大国への軌跡と背景探る:英文書籍「Chile's Salmon Industry: Policy Challenges in Managing Public Goods」出版

2016年5月25日

南米チリは現在、ノルウェーに次いで世界第2位のサケの輸出国で、その供給量は世界の3分の1にのぼります。かつてサケの生息地ですらなかったチリは、どのようにしてサケの輸出大国へと成長したのでしょうか?

その軌跡を追った書籍「Chile's Salmon Industry: Policy Challenges in Managing Public Goods」が2016年5月、Springer Japan社から出版されました。

(写真:渋谷敦志/JICA)

編者は、JICA研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザー、国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所(UNU-MERIT)の飯塚倫子研究員、チリ大学のJorge Katz教授が務めました。

本書では、チリのサケ産業が1970年代から20年かけてゼロから発展してきた経緯を紹介します。「知識の開発」「環境の持続可能性」「組織や制度の整備」「社会的包摂(社会福祉)」という4つの側面に焦点をあて、サケ産業の歴史を振り返り、包括的な分析を行っています。その分析を通じて、多くの途上国が自然資源依存型の産業で直面する共通の課題への対応方法への示唆、すなわり持続可能な経済開発を実現させるために必要な公共財管理の政策のあり方を示しています。

本書はまた、JICAの技術協力プロジェクト「日本/チリ・サケプロジェクト(チリ水産養殖プロジェクト)」の果たした役割に着目します。同プロジェクトによる技術移転は、知識基盤の構築に大きく貢献しました。この貢献がチリのサケ産業を発展させ、劇的な経済成長をもたらし、ひいては、チリ南部の雇用を直接・間接的に大幅に拡大させたことを指摘しています。

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