JICA緒方研究所

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上海フォーラムで北野所長が日本の開発協力の経験などを紹介

2016年7月11日

世界各国のオピニオン・リーダー、研究者、政策立案者らがグローバルな課題をアジアに焦点を当てながら議論する、第11回「上海フォーラム」が2016年5月28日~5月30日、中国・上海で開かれ、JICA研究所の北野尚宏所長が参加しました。北野所長は、G20と開発協力に関するセッションに出席し、開発協力大綱で重視されている質の高い成長につながる日本の開発協力の経験について論じました。

議論する参加者たち

上海フォーラムは、中国・復旦大学と韓国高等教育財団の共催であり、2005年から毎年開かれています。今年は、中国、韓国、日本、ASEAN諸国、米国、EU諸国など約40カ国から約700人が参加し、統合・イノベーション、協調・ガバナンス、グリーン・開発、協力・享受の4つのテーマのもと24のラウンドテーブル、セッションが設けられ、北野所長は「G20中国杭州サミットと国際開発協力」のセッションに参加しました。同セッションでは、復旦大学国際関係・公共管理学院の陳志敏院長と、パリ政治学院 国際関係スクールのエンリコ・レッタ学部長(前イタリア首相)が基調講演を行い、続いて、サミット研究で著名なトロント大学マンク国際協力スクールのジョン・カートン教授など、計15人の研究者が登壇。50人以上の参加者とともに、活発な議論を繰り広げました。

発表する北野所長

北野所長は、後半の国際開発協力についてのパートに登壇。まず、G7伊勢志摩サミットにおけるSDGs関連の成果を紹介した後、日本の開発協力の基本的な考え方である自助努力支援や、開発協力大綱で重視されている「包摂性」「持続可能性」「強靭性」を兼ね備えた「質の高い成長」と、「人間の安全保障」について説明しました。

次に、具体的なJICAの取り組みを紹介しました。「包摂性」に関連した事例として、ビル&メリンダ・ゲイツ財団との戦略的パートナーシップによる、パキスタンの「ポリオ撲滅事業」を紹介。「持続可能性」に関する例としては、ブラジルのかつて不毛の地として知られていた熱帯サバンナ地域「セラード」の開発を紹介。「強靭性」の例としては、ネパール地震後の復興支援を挙げ、復旧にとどまらず、より災害に強い状態で再建する「ビルド・バック・ベター」を支援の基本としていることを説明しました。

日本が協力したインド・デリーメトロ
(写真:久野真一/JICA)

さらに、「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」を紹介するとともに、「質の高いインフラ」支援の例として、インド・デリーの地下鉄「デリーメトロ」の取り組みを紹介。現場での安全意識の改善や、バリアフリー設計、省エネルギー技術活用など、社会・環境への影響にも配慮したインフラ協力を実現できたと説明しました。加えて、日本がかつて、上海経済圏の開発にソフト・ハードの両面で貢献したことも具体的な例をまじえて紹介しました。

北野所長は「中国や欧米の研究者と共に、G7、G20と開発協力、中国の発展モデルと南南協力、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や新開発銀行(NDB)の課題などについて議論できたことは有意義だった。」と話しています。

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