JICA緒方研究所

ニュース&コラム

G20のシンクタンク会合で北野所長がJICAの科学技術イノベーションへの取り組みを報告

2016年8月24日

G20 メンバー国のシンクタンクが議論するThink20サミットが2016年7月29日~30日、中国・北京で開かれ、JICA研究所の北野尚宏所長が、科学技術イノベーションに関するJICAの取り組みを紹介しました。

ルワンダのプログラマーたち(写真:今村健志朗/JICA)

今回のThink20サミットは、G20議長国の中国の社会科学院世界経済政治研究所、上海国際問題研究所、中国人民大学重陽金融研究所が主催し、中国科学技術部傘下の中国科学技術協力センターが後援しました。「新しいグローバル関係の構築-新たな原動力、新たな活力、新たな展望」というテーマの下、ハイレベルな対話とパネルディスカッションが繰り広げられました。

北野所長は、30日に行われた中国科学技術協力センター主催のパネル6「協力的、包括的かつダイナミックなグローバルイノベーション環境に向けて」のなかの「科学技術イノベーションと青年交流」をテーマにしたセッションで発表しました。

発表では、JICAの科学技術イノベーション協力のうち、青年交流にも貢献している事例として、アセアン地域の工学分野の人材育成を目的に、2001年設立された「アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net)」、日本と途上国の研究者の共同研究を支援する地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)、フィリピンでの市民工房「ファブラボ」の活用のケースを紹介。さらに、ケニアで2016年8月に開かれる第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)に関連する取り組みとして、神戸市や同市の企業がかかわるルワンダとのICT協力について説明しました。

AUN/SEED-Netのミーティング(写真:高橋智史/JICA)

AUN/SEED-Netは、日本国内の14校の大学が協力し、アセアン地域の26の大学がメンバー校となり、アセアン域内の工学系高等教育による人材育成を行っている事業です。北野所長は、この取り組みの成果として、約900人の研究者が域内あるいは日本で修士号・博士号を取得するなど、青年交流に貢献した、と話しました。

SATREPSは、JICAと国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による科学技術協力プログラムです。具体例として、京都大学、国立環境研究所、岡山大学が、マレーシア工科大学、イスカンダル開発庁などと協力して実施した「アジア地域の低炭素社会シナリオの開発」プロジェクト」を通して、両国の若手研究者の交流が推進されたことを紹介しました。

ファブラボは3Dプリンターやレーザーカッターなどの工作機械を備えた市民工房で、インターネットで世界とつながっており、途上国自身による問題解決の手段としても期待されています。北野所長は、青年海外協力隊も協力して開設されたフィリピン・ボホールのファブラボを取り上げ、日本とフィリピンの青年交流のプラットフォームとしても活用されていることを紹介しました。また、JICAが実施する「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ」(ABEイニシアティブ)を利用して、神戸市の神戸情報大学院大学ではIT立国を目指すルワンダからの留学生が学ぶようになり、神戸市と首都キガリ市との地域間交流、ICT企業間交流につながっていることを紹介しました。

今回のThink20サミットについて北野所長は「本会合を共催した中国の3つのシンクタンクに加えて、科学技術系のシンクタンクがイノベーションに特化したセッションを持ったのは、中国のイノベーション重視の表れであった。来年は、G20の議長国であるドイツのキール世界経済研究所とドイツ開発研究所(DIE)がT20の活動をリードするが、JICA研究所としても引き続いて参加していきたい」と話しています。

ページの先頭へ