JICA緒方研究所

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「アフリカの発展に向けての産業政策」のテーマで公開セミナー開催

2013年4月4日

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     ジョン・ペイジ氏
今年6月に横浜で開催予定の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)を控え、研究所では、3月22日、公開セミナー「アフリカの発展のための産業政策、Industrial Policy towards African Development」を開催しました。

 

低所得国の長期的な経済成長と貧困削減にとって、経済構造転換(structural change)は重要であり、産業政策が構造転換に果たす役割が注目されています。アフリカの持続的な経済成長のためには、構造転換を促進するための有効な産業政策を明らかにすることが緊急の課題となっています。この現状を踏まえ、アフリカにおける産業政策の可能性と開発援助が果たす役割について、多角的に議論することを今回のセミナーの目的としています。

 

本セミナーでは、ブルッキングス研究所シニアフェローであり、元世界銀行アフリカ地域担当チーフエコノミストのジョン・ペイジ氏が、 アフリカの産業政策についての基調講演を行いました。

 

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 大塚教授
まず、ペイジ氏は、「アフリカのための産業政策—その理由、内容、方法」と題した基調講演の中で、アフリカの産業政策の課題として、構造転換を進めることが重要であると指摘しました。同氏は、アフリカに向けた産業政策として、産業集積支援などを通した輸出市場の創出、海外直接投資を誘致するための政策や制度を強化することによるキャパシティの構築、経済特別区(SEZs)の設立、天然資源と投資を関連付ける回廊整備の確立などの具体的な案を説明しました。また、産業政策の促進を促すためには、民間セクターとの密な連携を図ることが必須であり、成長を遂げたアジアの産業政策の例を参考にすることや、アフリカ諸国での成功例の研究の必要性などを提示しました。

 

引き続き行われたパネルディスカッション(モデレーター:島田剛 JICA研究所企画課長)では、アフリカにおける産業集積に詳しい政策研究大学院大学(GRIPS)の大塚啓二郎教授、園部哲史教授を迎え、細野昭雄JICA研究所所長(現シニア・リサーチ・アドバイザー)もパネルに参加し、アフリカにおける産業政策の可能性と開発援助が果たす役割について議論しました。

 

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   園部教授
最初に発表した大塚教授は、ペイジ氏の言及した、企業のキャパシティや産業集積支援などに賛同した上で、それをどうやって強化するかについての具体策を提示しました。教授は、諸外国から学ぶこと、すなわち研修/職業訓練による知識の移転の重要性を強調し、アフリカのガーナやエチオピア、アジアのバングラデシュなどのマネジメント教育の事例を紹介しました。マネジメント教育は、企業が経営実務や業績を向上するための重要な学習の機会であり、アフリカでは管理職レベルの人的資本と経営実務の価値を認識すべきだと指摘しました。

 

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 細野所長
次に発表した園部教授は、引き続いてアフリカ諸国での零細企業を対象とした研究の事例と研修後の成果について紹介しました。その中で、ガーナ、ケニアでの事例に触れ、金属製品を製造する企業からの研修参加組と不参加組の研修後6か月経った時点での総売上高と総利益の比較を行い、研修に参加した企業にその効果があったことを紹介しました。さらに研修内容が興味深ければ、参加者やその知人への情報のスピルオーバーが起こることも指摘しました。

 

最後のパネリストとして、研究所細野所長は、産業戦略と経済改革の代表的な事例に、アジアのデトロイトと呼ばれるタイの自動車産業、ブラジルの「セラードの奇跡」と呼ばれる大豆生産を中心とした農業、バングラデシュの衣料産業、そしてチリの鮭の養殖産業などの成功例を挙げました。これらの事例から得た知見として、産業戦略と経済改革には、学習や知識と能力の集積などが必須であり、インフラ整備や技術革新なども産業発展と変革をもたらすこと、また民間セクター、公共機関および政府間の協力も、その変革をもたらす重要な要因であると指摘しました。

 

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パネルディスカッションの様子

日時2013年3月22日(金)
場所JICA 市ヶ谷ビル
言語英語



開催情報

開催日時2013年3月22日(金)
開催場所JICA 市ヶ谷ビル

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