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OECD主催の開発に関するグローバル・フォーラムの議論にJICA研究所研究員が参加

2013.04.15

4月4日、5日の二日間、経済開発協力機構(OECD)本部(フランス・パリ)において、「ポスト2015の世界に向けた準備」のテーマで、開発に関するグローバル・フォーラム(Global Forum on Development)が開催されました。この会議は、今後3年間にかけて議論していくテーマの初年度の会合となります。

本会合には ナイジェリア元大統領のオルシェグン・オバサンジョ氏、韓国前外交通商部長官の金星煥氏、Global Development Network (GDN) 事務局長のピエール・ジャケ氏、世界銀行副総裁のオタビアーノ・カヌート氏、オックスフォード貧困・人間開発イニシアチブ所長のサビナ・アルカイア氏 、OECD事務総長のアンヘル・グリア氏などが参加しました。JICA研究所からは、高橋義明研究員が出席しました。

本会合で、現在のミレニアム開発目標(MDGs)は、世界的に開発政策を貧困削減に向けさせる上で有効であったと評価される一方で、OECD開発センター長のマリオ・ぺッチーニ氏から「国内の不平等に焦点を当てる必要がある」や、ピエール・ジャケ氏の「理念を行動に移すためには『私たち(=実際に行動を起こすべき者)』が誰かを考える必要がある」などといったコメントが出されるなど、人間中心に考える必要性が指摘されました。さらに他の出席者から、持続可能な取り組みを考慮する必要性が指摘されました。ポスト2015の検討とリオ+20会合成果文書を受けた持続可能な開発目標(SDG)の検討が別々のプロセスで進められているが、欧州では持続可能性に政治的関心が向いており、SDGがポスト2015に統合されずに議論が進むのであれば貧困削減への取組みに対する関心は下がりかねないとの意見も出されました。

また、MDGsの評価についてもデータが不足しているとの指摘があり、これに対して、オタビアーノ・カヌート氏の「貧困を捉えるデータ自体が不足している」との意見や、サビナ・アルカイア氏からは「貧困削減に向けて実行することのできるデータが必要」などの発言がありました。こういった意見を踏まえて、途上国における統計能力向上をポスト2015において位置づける必要があり、「途上国でも普及率の高い携帯を利用した調査などIT技術の活用を図るべきである」といった、統計コンサルタントのエスパン・プライズ氏の意見がありました。また、「ポスト2015においてもデータに対する大きな需要があるが、統計の質を確保するためには、統計体制の効率性や持続性を考慮する必要がある」と、フィリピン国家統計調整委員会のガイ・テジャヤ氏も述べました。そうした中で、ポスト2015においては途上国の統計能力向上を位置づけるべきであると、OECD統計局長のマルティーヌ・デュラン氏からも指摘されています。

高橋研究員は、人々の声に耳を傾けるという観点からタイ・インドにて幸福度調査を行っていることを紹介するとともに、統計能力には、現場で実際に調査に当たる調査員の能力向上が不可欠であることや、行政機関などが得ている情報をネットワーク化してデータを収集することが重要であることを指摘しました。具体例として、MDGsの中で健康は主要目標であるにも関わらず、健康に関連するデータが不足している現状を踏まえて、病院間をネットワークで結ぶことで通院・入院情報や死亡統計を収集する方法や、政府開発援助(ODA)を用いてネットワーク化と病院の整備を同時に行うような提案をしました。

本会議の最後に来年のフォーラムについて、インクルーシブな成長が貧困削減や格差にどう影響するかに焦点を当てるとの提案が出されています。

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開催情報

開催日時:2013年4月4日(木)~2013年4月5日(金)
開催場所:フランス、パリ

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