JICA緒方研究所

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成果物出版へ向け研究チームがフランスで最終打合せ

2011年7月7日

JICA研究所のジャンクロード・マスワナ研究員率いる研究チームが6月17日にフランス、パリでワークショップを開催しました。本ワークショップには、日本、ヨーロッパ、アフリカの国際機関・大学より、5名の研究者が集結し、研究プロジェクト「アフリカにおける経済成長の潜在的要因の領域探求(Exploring Areas of Potentials Sources of Growth for African Economies)」の成果発信を控え、最終調整をしました。[関連記事へ]研究者たちは現在、増加傾向にあるアフリカとアジア諸国間の経済活動に関する計6本の論文を執筆中であり、政策提言の発表へ向けそれぞれの論文について討議し、分析手法や理論の整合性を確認するとともに、内容の精査を行いました。

 

JICAフランス事務所庄司仁所長による開会挨拶の後、今年のアフリカ経済の展望について、アフリカ開発銀行のRichard Schiere氏より発表がありました。その後、研究チームのメンバーから現段階の研究成果発表が行われました。(論文のタイトルは、「アフリカの国際企業と輸送費用の影響(International Entrepreneurship in Africa and the Impact of Transport Costs)」、「アフリカの産業発展の裏にある中国の存在(Africa’s Industrial Upgrading and the China-factor」」、「アフリカ産品に対する東アジア諸国の需要とアフリカの成長可能性(East-Asian Drivers’ Demand of African Commodity and Growth Potentials in Africa)」など。)

 

本ワークショップでは様々な分析結果が発表されましたが、プロジェクトの代表者であるマスワナ研究員は中でも特に、アフリカとアジアの成長の牽引要素(経済成長要因)比較、またアフリカとアジア途上国の中国に対する貿易品目構成の比較分析結果が注目すべき内容だったと述べています。

 

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  プレゼンテーションをするジャンクロード・マスワナ研究員
分析では、アジア経済の主な成長要因が、特に中国では輸出(工業製品)と投資であるのに対して、アフリカ経済は輸出と国内消費であることが明らかになりました。アフリカの輸出は、高度な技術を必要とせず、技術革新もほとんど期待できない石油などの一次産品に大きく依存しており、また、外需に頼っているため海外の需要が縮小するとたちまち立ち行かなくなる、という弱点を持っています。他方国内消費は、消費者の活発な消費行動を促しそれを維持する頑健な金融システムを必要とするため、一般にそのような条件が整っていないアフリカでは長期間にわたって維持することが難しいとみられています。

 

貿易構成からも同様のことが分かりました。アフリカの対中国輸出は過去10年間で飛躍的に増加しました。しかし、アフリカ諸国の輸出構成は従来と変わらず鉱物などの一次産品が占める割合が高くなっています。これに対し、ベトナムなどでは、かつては一次産品の輸出が大きな割合を占めていましたが、その後技術集約的な製品へとシフト、最終的に同国は技術移転ならびに経済発展を達成しています。

 

マスワナ研究員は、「これら二つの分析結果は、アフリカの経済成長の不健全なパターンを映し出している。」と指摘し、現状から脱するには、労働力の技能向上や技術革新をもたらし、さらには将来的な経済発展を促す工業製品の生産へとアフリカ経済の主軸を転換する必要があると説いています。

 

さらに、マスワナ研究員は研究プロジェクトの一環として、アフリカにおける中国の経済特区について、その成功の可能性とアフリカ諸国が設置した経済特区との相違点をザンビア、モーリシャスを事例として分析を進めています。なお本事例調査については、さらに情報収集と作業を行って仮説を検証していくこととしています。

 

マスワナ研究員のチームは7月末までに5本の論文を書き上げ、9月下旬頃までに最後の一本を完成させる予定です。

 


関連研究領域:成長と貧困削減

日時2011年6月17日(金)
場所フランス、パリ
主催者JICA研究所
言語英語



開催情報

開催日時2011年6月17日(金)
開催場所フランス、パリ

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