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アジアの新興ドナーによる援助動向をテーマにセミナーを開催

2010.06.17

JICA研究所では、近年存在感を増しているいわゆる新興ドナーの実態解明、およびそれを踏まえた援助協調の模索やわが国の援助戦略の再検討に貢献するため、アジアの新興ドナーについて研究を行っていますが、6月10日、本研究プロジェクトの成果の発表と、援助実務者との意見交換を目的に、JICA本部でセミナーを開催しました。

セミナーでは、本研究の研究分担者の一人である志賀裕朗シニア・リサーチ・オフィサーから研究の趣旨および概要の説明を行った上で、研究代表者を務める佐藤仁客員研究員(東京大学東洋文化研究所准教授)、同じく研究分担者の近藤久洋東京国際大学准教授が、それぞれ研究成果を発表しました。この中で佐藤客員研究員は、中国をはじめインド、タイ、韓国、クウェートといった新興ドナーによる援助が盛んなカンボジアの現状を例に、被援助国にとって負の効果をもたらすとされてきた援助国増加による「援助の断片化」は、カンボジア政府にとっては、援助国に対する交渉のレバレッジを増大させるというメリットもあると指摘しました。その上で、今後わが国は、急速に変化する援助コミュニティ内での立ち位置を明確化するためにも、その援助ビジョンを明確化していく必要があると語りました。

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また、実務者の立場から、北野尚宏JICA東・中央アジア部部長が、中国の援助動向および中国との援助協調に関する最近の動きについて報告を行いました。この中で北野部長は、近年、いわゆる伝統ドナーとの協調の動きを見せ始めている中国の援助関係者との対話を粘り強く続けて行くことが大事だと語りました。引き続いて、参加したJICA職員や外務省関係者も交えた研究チームとの活発な意見交換が行われ、最後に、実務者と研究者によるこうした議論を今後も行っていくことが確認されました。

本研究チームは、すでにJICA研究所から、カンボジアにおける新興ドナーの援助動向を被援助国政府の視点から分析したワーキングペーパーを発表しており、今後、アジアの4カ国の新興ドナー(中国・インド・タイ・韓国)による援助の特徴を比較分析した新たなワーキングペーパーを発表する予定です。

関連研究領域:援助戦略

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開催情報

開催日時:2010年6月10日(木)
開催場所:JICA本部

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