『From Divided Pasts to Cohesive Futures: Reflections on Africa』

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From Divided Pasts to Cohesive Futures: Reflections on Africa

アフリカ社会の民族的、文化的な多様性は、豊かさや競争力、成長の源となりますが、その一方で、社会の融和を揺るがす民族間の緊張や衝突、情勢不安のリスクも高めます。民族間の対立は、アフリカ大陸全体に見られるわけではないものの、いまだ多くの国で懸念されています。

ではアフリカの国々は、どうすれば民族やその他の違いを、成長や発展のための強みや原動力として活用できるのでしょうか。

本書では、アフリカ大陸の歴史を考察することを通して、多様性についての現状を理解し、より信頼関係のある社会に向けてアフリカの人々が進んでいくためにどうすればよいかを検討しています。ケーススタディーや統計的な解説、理論的考察を用いて、アフリカだけでなく世界中でいまだよく理解されていない社会融和の背景やそのプロセスの概念を明確にしようとしています。

また、アフリカ固有の歴史的、経済的、人口統計学的な条件を踏まえた上で、「自分たちのリーダーが特に困難な課題に取り組んでいるということを人々に気付かせなければなりません」(本書431ページ)といった提言が示されています。 アフリカでの多元的社会が台頭してきていることから、分断された過去を乗り越え、融和に満ちた未来への可能性はあるとし、慎重でありつつも楽観的な結論で本書は締めくくられています。

本書は、JICA研究所の研究プロジェクト「アフリカにおける民族多様性と経済的不安定」の成果として発刊されました。同プロジェクトは、神戸大学経済経営研究所との共同研究として2008年10月に立ち上げられ、デューク大学の日野博之客員研究員(元JICA研究所特別研究員、元神戸大学教授)が主導して実施されたものです。同氏によってアフリカ、日本、北米、欧州の歴史学、人類学、経済学、政治学の研究者らからなるチームが結成され、その中心メンバーを神戸大学の浜口伸明教授と京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科の高橋基樹教授が務めました。

なお本書は、同共同研究プロジェクトによる既刊の書籍『Ethnic Diversity and Economic Instability in Africa: Interdisciplinary Perspectives』(ケンブリッジ大学出版、2012年)と『How Can Africa Flourish with Ethnic Diversity?: Synopsis of the Fifth Kobe University/JICA Conference on Ethnic Diversity and Economic Instability in Africa』(神戸大学経済経営研究所、2013年)の続編です。

編者
日野 博之、 アーニム・ランガー、 ジョン・ロンズデール、 フランシス・スチュワート
発行年月
2019年8月
出版社
Cambridge University Press
言語
英語
ページ
466ページ
関連地域
  • #アフリカ
研究領域
経済成長と貧困削減
ISBN
978-110-84-7660-7(ハードバック)
978-110-86-4519-5 (オンライン)
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