JICA緒方研究所

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書籍および報告書

『SDGs, Transformation, and Quality Growth: Insights from International Cooperation』

世界は今、パンデミックや極度の貧困、気候変動、人間の安全保障の深刻な侵害など、さまざまな課題に直面しています。こうした状況下で、「質の高い成長」の実現がこれまで以上に緊急に必要とされています。

本書は、「質の高い成長」という考え方に関する洞察を深め、「質の高い成長」が兼ね備える包摂性、持続可能性、強靭性といった不可欠な性質について考察しています。また、成長を推進する主な要因であり、さまざまな進歩に影響を与える産業構造の転換、経済、社会の変革(Transformation)という文脈から「質の高い成長」について論じています。本書はケーススタディーアプローチを採用している点で、「質の高い成長」の実現に向けた一般的な政策に関する研究とは異なっています。

人材・組織などの能力強化、それによって進む産業構造の転換、経済・社会の変革、「質の高い成長」の過程は内発的に生じますが、それを実現するには適切な戦略と、その戦略を実行するための効果的なアプローチが必要です。本書はケーススタディーによって、実際にどのようにこの過程が進んだのか、どのような戦略やアプローチが有効であり、どのようなアクターが貢献したのかを明らかにしています。

具体的には、能力強化、産業構造の転換、社会・経済の変革、「質の高い成長」(持続可能な開発目標/Sustainable Development Goals: SDGsに密接に関連する性質を有する)の関係性を次の3つの視点から研究し、適切かつ有望な戦略を考察しています。第一に、人材・組織などの能力を強化する戦略と、そうした要素を考慮して構造転換を促進するための戦略について述べています。第二に、注目すべき構造転換の事例に着目し、能力強化をはじめとするさまざまな要因がどのように相互作用して構造転換を可能にしたかを分析しています。第三に、雇用創出と包摂性が期待されていたようにはGDPの成長に伴わなかったサブサハラ・アフリカの事例について考察しています。

本書のケーススタディーから得られた示唆は、特定の国や地域での事例に基づくものであり、他の国や地域に直接適用することはできないかもしれません。しかし、各国が「質の高い成長」に向けた独自の戦略を打ち立て、特定の課題に対処するのに役立つ可能性があります。

本書は、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の研究プロジェクト「『質の高い成長』にかかる研究」の成果であり、著者をJICA緒方研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザーが務めています。

本書はオープンアクセスで、以下のリンクからご覧になれます。公開されている全てのコンテンツは、Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License (CC-BY-NC-ND 4.0) の条件の下で共有できます。

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