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The Impact of Migration and Remittances on Labor Supply in Tajikistan

出稼ぎ労働者からの送金は、開発途上国にとって外貨収入の大部分を占めています。海外送金による効果として、出稼ぎ労働者が雇用を得ることで移民送出国の失業率を低下させるプラスの効果が知られているものの、マイナスの効果についての研究は多くはありません。

本論文は、タジキスタンの国内労働市場における移民と送金の効果について論じています。同国は移民送出国であり、その経済は海外送金に依存しています。出稼ぎ労働者の多くはロシアで就労しているのが現状です。本論文では、特に移民と送金の受領がタジキスタン国内に残された家族の雇用や労働供給量の決定にどのような影響を与えるかを推計しています。世界銀行がJICA緒方貞子平和開発研究所と協力してタジキスタンで実施している調査「Listening to Tajikistan (L2TJK)」の高頻度の家計パネルデータを用いてコントロール関数アプローチによる推定を行い、移民・送金が残された家族の労働供給量の決定に影響を与えているか検証しました。

推計の結果、出稼ぎ労働者として家族を送り出すことは、残された家族の雇用率を5.4パーセントポイント低下させ、さらに送金の受領によって雇用率は10.2パーセントポイント押し下げられることが分かりました。この結果は、家族に出稼ぎ労働者がいることや送金を受領することは、残された家族の労働供給を抑制する効果、または低い賃金では働かなくなる効果(留保賃金効果)を生み、他のプラスの効果を上回る可能性があることを示唆しています。

本論文は、JICA緒方貞子平和開発研究所の研究プロジェクト「フィリピンとタジキスタンの家計における海外送金に関する研究」の研究成果です。「Journal of Asian Economics」に掲載され、以下のリンクからご覧になれます。

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