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Immediate Impacts of the COVID-19 Pandemic on Household Economic Activities and Food Security in Tajikistan

いまだ続く新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)のパンデミックは、健康、経済、社会に対する深刻な危機を世界的に引き起こしています。コロナの社会経済的な影響を分析するニーズの高まりに対応し、本論文では、タジキスタンにおける世帯の経済活動と食料安全保障への短期的影響を考察しています。さらに、世帯の特性による影響の違いや、コロナによる所得への打撃に世帯がどう対処したかについても分析しています。

研究結果によると、タジキスタンではパンデミック発生後すぐ、世帯の就労と収入は落ち込み、食料安全保障の低下をもたらしました。全世帯がパンデミックにより影響を受けているものの、世帯への悪影響は居住地(都市部または地方部)、パンデミック前の収入レベル、世帯規模によって異なることが分かりました。都市部の世帯が雇用と収入の損失による影響を多く受けているのに対して、地方部の世帯は食料安全保障の悪化に直面していました。より高収入・大規模な世帯は自営業に携わっていることが多く、感染症の拡大が急速な事業縮小をもたらしたため、収入の喪失に見舞われているケースが多いことも判明しています。一方で、より低収入・小規模の世帯でも同じく収入の喪失などの影響は受けているものの、高収入・大規模の世帯に比べると影響の程度はそれほど大きくはなく、食料安全保障の悪化がより深刻でした。また、各世帯は借入金を増やし、食料と健康にかかる費用を減らすことで影響に対処しているという結果になりました。

パンデミックは継続中であるため、コロナによる影響を十分に判断することはまだできないものの、これらの研究成果は政府による都市封鎖が実施されていない開発途上国における家計への短期的影響を明らかにしています。

本論文は、JICA緒方貞子平和開発研究所の研究プロジェクト「フィリピンとタジキスタンの家計における海外送金に関する研究」の研究成果です。ジャーナル「Economics of Disasters and Climate Change」に掲載され、以下のリンクからご覧になれます。

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