The Effect of National Sports Events on Women and Gender in Sports in Juba, South Sudan

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この論文は、これまで十分に理解されてこなかった南スーダンのスポーツにおけるジェンダー格差の実態を把握し、スポーツ大会の開催がスポーツにおけるジェンダー格差の改善にどのような効果があるかを検証し、その結果を示しています。

2020年に開催された第5回「国民結束の日」の前後に、ジュバ市民を対象として、定量的世帯調査、フォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)、キー・インフォーマント・インタビュー(KII)を実施しました。アフリカでは全般に、女性のスポーツへの参加率が低く、特に南スーダンは家父長制が色濃く残っています。しかし、調査の結果、ジュバにおけるスポーツの男女格差の実態についてみると、予想に反して、男性の75%以上、女性の半数以上がスポーツを行っていることがわかりました。

一方、実際にプレーしているスポーツや参加率では、男性はサッカー、女性はバレーボールとなり、性別によって大きく偏っていました。また、第5回「国民結束の日」の介入により、男性よりも女性の方がスポーツへの参加率や、実際にスポーツをする日数が増えることが示されました。これらの結果から、南スーダンでは、スポーツ大会の開催が増えれば増えるほど、スポーツにおける男女格差が改善されることが示唆される結果となりました。

このように、家父長制が根強い南スーダンにおいて、「国民結束の日」のようなスポーツ大会を継続的に開催していくことは、女性のスポーツへの参加の機会を促進し、スポーツにおける男女格差の改善につながります。さらに、女性は育児や家事のみに専念すべき、というこれまでの伝統的な社会規範の変更を伴う可能性を秘めていることが示されました。

本論文は、ジャーナル「Forum for Development Studies」に掲載されました。

著者
古川 光明
発行年月
2022年11月
言語
英語
ページ
23ページ
関連地域
  • #アフリカ
研究領域
開発協力戦略
研究プロジェクト