Chemical Characteristics and Deposition Amounts of Carbonaceous Species and Inorganic Ions in Precipitation in the Bangkok Metropolitan Region

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深刻な健康被害につながる大気汚染物質である微小粒子状物質(PM2.5)の降水による除去効果を調べるため、タイのバンコク首都圏の郊外およびバンコク市中心部で、2015年9月から2017年3月まで、PM2.5の主要成分である有機炭素、元素状炭素、および主要な無機イオンの大気中の成分濃度と、雨水中に含まれる成分濃度をサンプリング観測・測定し、得られたデータの分析を行いました。このような研究が熱帯地域を対象に行われたのは初めてです。

分析の結果、降水による除去の指標であるPM2.5構成成分の除去効率(SR) の大きさは、主要な無機イオン(硝酸イオン、硫酸イオン) > 有機炭素 > 元素状炭素(化石燃料起源) > 元素状炭素(バイオマス燃焼起源)の順となりました。他方、湿性沈着量は、硝酸イオン > 水溶性有機炭素 > 硫酸イオン > 非水溶性有機炭素 > 元素状炭素の順に多く、これにより降水中に含まれる成分は、大気中の化学反応によって生じる二次粒子由来の方が、発生源から直接排出される一次粒子由来よりも大きいことが示唆されました。

本論文は、JICA緒方貞子平和開発研究所の研究プロジェクト「アジアの都市大気汚染環境改善の方策に関する研究」の研究成果に基づき執筆され、Atmospheric Environment誌に掲載されました。

著者
Mingqun Huo、 Keiichi Sato、 Nguyen ThiKim Oanh、 Metta Mettasitthikorn、 Malulee Leamlaem、 Didin AgustianPermadi、 成田 大樹、 Hathairatana Garivait、 Wanna Laogul、 秋元 肇
発行年月
2022年12月
言語
英語
ページ
12ページ
研究プロジェクト