The continuum of humanitarian crisis management: Multiple approaches and the challenge of convergence

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The continuum of humanitarian crisis management: Multiple approaches and the challenge of convergence

1991 年の国連総会決議において「救援、復興および開発の連続的実施(以下、コンティニュアム(continuum)と呼ぶ)」の重要性が指摘されて以来、人道危機への対応として、「救援(relief) だけでは不十分」との認識は国際社会で広く共有されている。しかし現実にはコンティニュアムの実現は容易ではない。その原因の一つは、コンティニュアム概念の不明瞭さ、共通理解の欠如にあると考えられる。本研究ではこの認識にもとづき、人道支援分野で一般的に議論されてきたコンティニュアム概念を、自然災害に関わる防災分野、暴力的紛争に関わる平和構築分野における同種概念と比較し、それぞれの特徴、課題を整理した。

その結果、これら三つのコンティニュアム概念には、危機対応に関わるアクターを意識したものと推移するフェーズを意識したものの二つの考え方が並列して存在していること、人道危機対応のプロセスは段階的に移行するものではない(non-linear) という認識がアクターの活動に十分に反映されていないこと、人道支援分野における概念には予防が明確に位置づけられていないこと等が明らかとなった。そこで本研究では、あらゆる危機に共通するコンティニュアムの理念型として、全てのアクターを人道危機対応のプロセスに内包する多層的活動モデル(multi-layered activitiesmodel) を提示した。その上で、このモデルの長所や短所についても検討した。またコンティニュアムの実現には、アクター間・アクター内連携だけでは十分でなく、被災地・被災者を中心に据えることが最も重要であることが確認された。

著者
ゴメズ・オスカル、 川口 智恵
発行年月
2016年5月
言語
英語
ページ
45ページ
開発課題
  • #平和構築
研究領域
平和構築と人道支援
研究プロジェクト