『プノンペンの奇跡 世界を驚かせたカンボジアの水道改革』

  • #プロジェクト・ヒストリー

『プノンペンの奇跡 世界を驚かせたカンボジアの水道改革』

JICA研究所では、これまでに行ってきたJICAの事業を振り返り、その軌跡と成果を分析して書籍としてまとめた「プロジェクト・ヒストリー」シリーズを刊行しています。本シリーズの第13弾として、『プノンペンの奇跡 世界を驚かせたカンボジアの水道改革』を刊行しました。

本書は、長く内戦に苦しんだカンボジアの首都プノンペンで、その水道公社が安全な水を市民に届けるまでの「キャパシティ・ディベロップメント」の過程を詳細に描いた物語です。水道管の不法接続や、盗水が横行し、水道公社が腐敗と汚職の温床だった1990年代。それが、わずか15年の間に安全な水を市民に届け、日本にも劣らない高いレベルのサービスを提供するまでに成長する奇跡の背後にあったものは何かを明らかにしています。

本書では、水道公社の改革を先頭に立って率いたエク・ソンチャンという人物のリーダーシップが描かれています。同時に、そのリーダーシップを支えたカンボジアという国の政治判断や政策、そしてカンボジア側の努力を形にするために、プノンペン市の水道事業全体の計画を作成し、これに必要な資金や人の協力を行った日本の支援、さらにフランスや世界銀行など、さまざまな国際機関の支援が記録されています。カンボジアの水道の成功は、エク・ソンチャンと彼が率いる水道公社、カンボジア政府やプノンペンの市民社会、カンボジアを支援する諸外国や国際機関といったあらゆるレベルで、多くの人々が活躍し、プノンペンの水道問題を解決していったキャパシティ・ディベロップメントの好事例に他なりません。

このサクセス・ストーリーから、私たち日本人も多くを学ぶことができます。人材の育成、やる気の引き出し方、仕事の管理の工夫や、さまざまな意思決定者への巧みなはたらきかけ。そして、改革、革新(イノベーション)。そこには、開発事業に限定されない、普遍的なマネジメントのヒントが多く示されています。

著者
鈴木 康次郎、 桑島 京子
発行年月
2015年3月
出版社
佐伯印刷
言語
日本語
ページ
192ページ
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #水資源
  • #都市開発・地域開発
研究領域
地球環境
ISBN
978-4-905428-53-4