『人道と開発をつなぐ アフリカにおける新しい難民支援のかたち』

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『人道と開発をつなぐ アフリカにおける新しい難民支援のかたち』

紛争や政情不安、暴力的過激主義の影響により昨日までの人生を奪われ、慣れ親しんだ故郷からの移動を余儀なくされる人々がいます。彼らの中には、一時的な避難にとどまらず、生きていくために見知らぬ土地で新たな暮らしを始めざるを得ない人々もいます。近年、アフガニスタンやウクライナ関連のニュースなどで日本でも耳にすることが増えている、いわゆる「難民」と呼ばれる人々のことです。

難民支援は、本来、難民発生という緊急事態への対応であるため、これまで主に国際機関やNGOなどの緊急人道支援機関が所掌し、JICAが貢献できる範囲は限られていると長年考えられてきました。その一方で、紛争の長期化に伴って難民状態も長期化しており、これによりこれまでの緊急支援だけでは対処できない新たな問題が発生しています。

本書は、南スーダンなどの近隣国から多くの難民を受け入れているウガンダでの日本政府およびJICAによる長期化状態にある難民への協力の軌跡をまとめたものです。一連のプロセスにJICA職員の立場で直接関わった著者の視点で、当時の様子が細やかに描かれています。

この本を通じて、著者は、アフリカにおける長期化状態にある難民の人々の存在と、そこで日本が実際に行っている長期化状態にある難民支援活動の一端を読者に伝えています。そして、長期化状態にある難民支援に対する日本の取り組みにおいては、「人間の安全保障」という考え方が大きく影響していることも強く訴えています。

さらに、これまでのJICAの協力が難民自身と受入社会に与える影響、日本がアフリカの長期化状態にある難民支援に関わる意義についても考察しています。国際問題化している難民の大量発生および長期化に対し、日本がどのように関わるべきなのか、読者と共に考えていきたい、と著者は思いを込めています。

著者
花谷 厚
発行年月
2022年12月
出版社
佐伯コミュニケーションズ
言語
日本語
ページ
217ページ
関連地域
  • #アフリカ
研究領域
平和構築と人道支援
ISBN
978-4-910089-27-0