No.77 Analysis of Poverty between People with and without Disabilities in Nepal

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障害者の総人口の三分の二以上が、低所得国および中所得国に暮らしており、社会の中で最も貧しい社会的弱者に属している。しかしながら、発展途上国では障害に関しての利用可能な統計データが不足していることにより、障害と貧困を研究したものはほとんど存在しない。本論文は、国家の代表的なデータセットであるネパール生活水準調査(NLSS-2010/2011)を利用して、ネパールに住む障害者および障害を持たない者に関する要因を調べることにより、この不足を解消することを目的としている。分析に関しては、Foster-Greer-Thorbecke(FGT)の貧困指標を使用している。調査の結果、貧困状態にある人の数、貧困の発生率、貧困の重度を示す数値は、障害を持たない者より障害者のほうが高く、障害者のほうが貧困の罠に陥りやすいことを示している。特筆すべき発見のひとつは、10年以上の学校教育を受けた障害者が貧困状態に陥っていない点であり、障害者教育へのさらなる投資の必要性が正当化される。また、障害を持たない者の男性は、障害を持たない者の女性よりも貧しい状態にあることも判明した。このことは障害者の女性には当てはまらない。障害者の女性は障害者の男性よりも貧しい状態にあり、彼女たちが、女性としても障害者としても、二重に差別を受けている可能性があることを意味する。同様に、農村部に暮らす人々は、障害の有無にかかわらず、教育水準が低く、所有地も狭く、各種施設を利用する機会にも恵まれていない状態であることが判明した。さらに、下層カーストに属する人々が最も貧しい状態にあることも判明した。したがって、これらの調査結果は、貧困を減らす開発努力において包摂的かつ持続可能な開発を望むのであれば、障害者などの社会的弱者の問題に取り組むことが重要であることを示唆している。

著者
ラミチャネ・カマル、 Damaru Ballabha Paudel and Diana Kartika
発行年月
2014年3月
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #教育
  • #ジェンダーと開発
  • #貧困層支援・格差是正
研究領域
開発協力戦略
研究プロジェクト