JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.70 Access to Infrastructure and Human Development: Cross-Country Evidence

人間開発にインフラが与える影響をめぐり、これまで政策議論が活発に行われてきたものの、実証的な先行研究は乏しかった。また、インフラは国連ミレニアム開発目標(MDGs)達成への原動力であるという固いコンセンサスは見られるものの、交通やエネルギーといった主要なインフラサービスは、現行の MDGsに含まれていない。本論文は、1995 から2010年までの期間の91の途上国を対象にしたパネルデータを用いて、インフラ変数(電力へのアクセス、きれいな飲み水へのアクセス、道路密度)が人間開発指標(HDI)および3つの構成変数(保健、教育、所得)にあたえるインパクトの計測を試みている。一般モーメント法(GMM)の動的パネル推計を行ったところ、3つのインフラ変数全てが HDIに対し有意な正のインパクトが認められた。しかしながら、電力へのアクセスときれいな飲み水へのアクセスは、教育及び保健指標に対してのみ、有意な正のインパクトが確認された。他方、道路密度に関しては、所得指標を押し上げる有意な効果が確認された。これらの分析結果から、あらゆるインフラサービスへのアクセスの欠如、いわゆるインフラ貧困を撲滅することは、持続的な人間開発への必要条件であり、2015年以降の新たな開発戦略において、インフラ貧困を巡る課題を包括的に取り組むことが重要であるといえる。

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