JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.9 Conceptualizing and Measuring Ethnicity

本稿では、「民族(ethnicity)」の概念がどのように定量的研究に運用されてきたかを検討する。民族に関する現在の理論と統計的処理における民族の用法の間に概念的なミスマッチが存在する。このミスマッチは、「民族」をより幅広い概念である「社会的距離」の指標として用いるものとして計量経済学的方法を再構築することによって、克服できる。本稿では、「社会的距離」を更に「多様性」と「格差」に細分化し、先行研究で用いられている既存の測定方法の強みと弱みを検討する。これらを踏まえ、各測定方法ごとの定型的な測定分布、更にはガーナ、ウガンダ、インドネシアの県レベルの実際のデータを用い、民族に関する異なった測定方法がどの程度相関関係を持っているかを検討する。その結果、かなり異なった基礎分布を取り上げたとしている測定方法でさえ、実際には強い相関関係を持っていることがわかった。この結果は、計量経済的結果を解釈する際には一層注意を要することを示唆している。特定の政治的結果と特定の分布を結びつけるような理論的に更に洗練された民族の測定方法を用いた定量的な研究は、因果関係を綿密に検討する定性的な研究と組み合わせることによって、民族に関する実証研究の適切な将来の方向性を指し示すものとなるのかもしれない。

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