No.109 Measuring Quality of Policies and Their Implementation for Better Learning: Adapting the World Bank's SABER Tools on School Autonomy and Accountability to Burkina Faso

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教育分野における優先的な開発目標は、学校へのアクセス増加から学習成果の質向上へシフトしてきた。就学率は伸びても学びが十分ではないという問題の解決に向け、各国では政策の見直しが進みつつある。こうした中、国際的なグットプラクティスや先行研究に基づいた政策分析をサポートするため、教育制度の国際比較分析ツール(通称SABER: サベール)とデータベースの開発を、世界銀行は他ドナーとも協力をしながら進めてきた。本研究は、SABERの中でも特に学校運営制度(通称SBM)というJICAの協力実績も多い分野に関する政策を評価するツールの改善に向け、世銀チームと共同で実施したものである。これまでのSBMに関する途上国の先行研究はラテンアメリカが中心であった。

本論文では、ブルキナファソの学校運営制度に係る政策の質と実施度について検証している。より良い学習成果の達成に向けた学校運営委員会の機能、及び分権化や学習評価政策とのシナジー効果に着目して分析している。

分析の結果、ブルキナファソでは、COGESと呼ばれるコミュニティ参加型学校運営委員会の役割に係る法令やガイドラインが整備されたことにより、政策の質は比較的向上していることが示された。また、分権化政策も地方自治体への権限移譲という点では概ね高く、また、学習評価政策も学習評価の頻度では高く評価された。他方で、これらの政策は、本来の意図通り十分に実践されているとは限らず、関係者間での実施度に差があることが村落部の学校や地方自体等から収集したデータによって明らかにされた。

まず、学校運営委員会(COGES)は、その機能度に差がある。この機能度を表す指標として、学校へのCOGESの貢献金額に着目すると、それはCOGESの総会やCOGES同士の連合の有無などのガイドラインが意図する手順の実践度とも有意に関連している。民族構成等の他のコミュニティ要因を制御しても結果は同じである。このCOGESの機能度が高い学校では、教科書数や補習授業時間数といった学習環境、また卒業試験の合格率といった学習成果の質も比較的高い傾向がある。さらに、学習評価結果をより活用していることもより良い学習成果と関係しており、地方分権化の実践度に係る関係者間の共通認識の高さも補習授業時間の長さと正の関係を示した。参加型学校運営委員会に係る政策の実施を、学習評価結果の活用や分権化と共に強化することは、より良い学習成果を達成するために重要であることが示唆された。

著者
結城 貴子、 伊芸 研吾、 Angela Demas
発行年月
2015年12月
関連地域
  • #アフリカ
開発課題
  • #教育
研究領域
開発協力戦略
研究プロジェクト