JICA緒方研究所

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No.169 A ‘Local’ Response to Peacebuilding Efforts in Timor-Leste

平和構築活動においては、ローカル・コミュニティを中核に据えるべきであるとする指摘に対応し、国際機関やドナーは、その方針を実行に移してきた。しかし、ローカル・コミュニティを中核とする平和構築活動とは、どのようにして実現できるのか。また、そのような活動が、本当に平和を推進したのか。現場での模索と議論は、未だに続いている。

本論文は、「ローカル」の声を取り上げ、開発とともに進む平和構築のメカニズムを理解することを目指す。著者は、東ティモールの3つの村においてフォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)を実施。参加者は、10分野において進展状況の評価付けと意見交換を行った。その結果、外部アクターの関与のあり方について、平和構築活動が行われた場所と時期により、参加者がさまざまな認識を持っていることが明らかとなった。
特に首都ディリで発生した2006年の政治危機は、各ローカル・コミュニティに対して異なる影響を及ぼした。外部アクターは、首都部に「介入者」として国際部隊を派遣し人道援助を提供した。その一方で、地方部では「メンター」として能力構築への支援を維持した。

地方部の人々は、依然として飲料水や教師の能力には懐疑的で、質の向上に向けた政府のさらなる努力を求めている。また、ローカル・コミュニティには、フォーマルな司法制度や警察機能が整っていないため、土地の所有権や社会治安の問題に対して、各コミュニティが独自に対処しようとしている。こうした動きに対し、外部アクターは「調整者」として、慣習として存在する伝統的な紛争解決システムを活用することを後押しするケースがみられた。

FGDの結果は、多様な集団の活動の相互作用から生まれる「ハイブリッドな平和」の形成に、外部アクターがその一端を担ったことを示した。そして、ローカル・コミュニティの多様なニーズに応えるには、場所、分野、時機といった特徴を考慮し、外部アクターが担える役割とは何かについて、外部アクター自らが見極めることの重要性を本論文は示唆している。


キーワード: 平和構築、ローカル、開発、フォーカス・グループ・ディスカッション、東ティモール

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