JICA緒方研究所

出版物

ワーキングペーパー

No.174 Spillovers as a Driver to Reduce Ex-post Inequality Generated by Randomized Experiments: Evidence from an Agricultural Training Intervention

ランダム化比較試験を通じた開発プロジェクトのインパクト評価は、他の複雑な計量経済学的方法よりも少ない仮定で、より信頼性の高い結果をもたらすものとして注目されている。ランダム化実験では、介入を受ける実験群とそれを受けない統制群の二つをランダムに振り分ける。割り付けがランダムゆえ、介入を受ける確率は全ての人に平等に与えられており、その意味では機会の平等は保障されている。しかし、介入が効果的なものであればあるほど、事後的に実験群・統制群の間に不平等が生まれ、そうした不平等の存在は社会的なコストとなりうる。

本研究は、コートジボワールで行った稲作技術研修を例として、プロジェクトの厳密な因果評価とその後「実験によってもたらされた」不平等を緩和させる工夫を施した、新たな実験デザインを提示する。まず、プロジェクトの厳密な評価を行うために、トレーニング直後の段階では、研修を受けなかった農家に、研修を受けた農家と研修内容についての情報交換をしないよう要請した。これは実験群から統制群に情報やその効果が漏出(スピルオーバー)してしまうとバイアスのないインパクト評価ができなくなるからである。トレーニングから一年後、今度は、実験群と統制群の農家の間で積極的に情報交換を行うことを奨励し、スピルオーバーが生まれやすくなるようにした。

その結果、研修直後には稲作技術の普及率や収量は研修組の方が高かったが、情報のスピルオーバーの結果、研修を受けなかった農家もやがて研修の効果を享受し、研修から2年後までには両者の間に稲作のパフォーマンスの差がなくなったことが判明した。


キーワード:不平等、プログラム評価、ランダム化実験、スピルオーバー

ページの先頭へ