JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.187 A Second Chance for Education: Examining the Roles of Education in Conflict and Peace based on Life Stories from Bosnia and Herzegovina

本研究は1990年代のボスニア・ヘルツェゴビナの紛争によって中等教育を中断せざるを得なかった子どもたちの第二の教育の機会(SCE)を主題としている。同国の戦争の経験は場所によって部分的破壊から完全な民族浄化まで多様であった。同様に教育の選択肢についても様々であった。多くの学校は継続して教育を行い、一部は戦闘の激しさによって断絶的に機能し、また一部は閉鎖に追い込まれた。この問題はこれまでほとんど研究されてこなかったものの、教育の中断を経験した子どもは少なくなく、その一部は自らの、また家族の努力によってSCEを獲得している。本研究はライフ・ストーリーの手法を用いて、どのように教育が中断され、どのようにまたなぜSCEが得られたのかについて理解を深め、さらにSCEが当人たちにとってどのような意味を持ったのかを論じる。対面またはスカイプによる31人のインタビューを経て、本研究ではそのうち詳細な事例研究として13人に焦点を当てる。顧みられてこなかった子どもたちの声をボスニア・ヘルツェゴビナの教育、紛争と平和の研究に取り込むことにより、本研究では紛争の影響を受けた社会においてSCEを含む教育が果たし得る4つの役割を確認した。第一に教育は子どもたちを守り、一定の日常性を保つ手助けとなる。第二に、教育は将来への希望を保つために役立つことがある。第三に、関連する点として、厳しい試練を生き延びるために役立つ可能性のある知識や技能を得られることで、教育は自己実現の機会をもたらす。最後に、得られた教育と技能により、若者は平和構築のエージェントとしてより社会変革に貢献しやすくなる可能性がある。従って、紛争影響国においては平和構築のために教育を支援・継続することにさらなる注意を払う必要がある。

キーワード:教育、セカンド・チャンス、武力紛争、ボスニア・ヘルツェゴビナ、平和構築

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