JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.192 Obtaining a Second Chance Education in Post-conflict Rwanda: Motivations and Paths

1990年代以来人道危機状況が長期化する傾向が顕著になり、国際社会は緊急時教育 (EiE)に対する支援を加速しています。こうしたEiE分野の成長にもかかわらず、紛争影響下では、多くの就学年齢の子どもたちが就学機会(特に中等教育レベル)を失った上、セカンドチャンス教育 (SCE) を受ける機会を得たり、自分たちの視点を訴える場を持つことができていません。この論文では、EiE分野で見過ごされてきた、紛争に起因した非就学児童や若者の問題と、セカンドチャンス教育の可能性に焦点をあてています。紛争と教育の関係を考慮する上で非常に重要なルワンダの事例を分析し、1994年以前の時点で非就学児童となった人々が、教育機会を失った過程、虐殺後のルワンダで SCEを達成した経由、そしてSCEを望んだ動機を検証します。

この研究は、定性的研究手法、特に解釈的手法を用いて、上記の人々が、虐殺後のルワンダでSCEを達成するまでの複雑な経過や、SCEへの動機をどのように解釈しているのかを検証しています。2016年の現地調査で行った23件のライフストーリー・インタビューからは、虐殺以前のルワンダで、政治闘争に利用された教育が如何に社会や人々を分断し、人々の教育機会を奪ってきたかが明らかになりました。SCEへの動機に関しては、コグニティブ・リウォードといった内的動機や、技術・資格・生計取得や規範的価値、修復といった外的動機が浮き彫りになりました。

研究成果は、まずはじめに、SCEを達成できた人々のライフストーリーの検証により、SCEによって正規小中学校教育を修得するための必要条件や経路を示唆したことです。次に、技術・資格・生計取得といったドナーが焦点を置く教育の目的は、知の探求や社会の役に立ちたい、という多様な動機のうちの一つでしかないということにあります。このようなSCE修了者の経験や視点は、これまでEiE分野では大きく見落とされており、今後のEiEの実践に重要な意義と示唆を持つと考えられます。

キーワード:紛争、緊急時教育、セカンド・チャンス教育、学習者の動機、ルワンダ


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