JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.194 International Power Structure and Strategic Motivations: Democracy Support from Japan and Indonesia

東アジア諸国は伝統的に、外交政策において民主主義・人権規範よりも国家主権を重視してきた。しかし2000年代半ばに入り、こうした主権重視アプローチに変化の兆しが見られ始めた。日本とインドネシアという東アジアの二カ国が民主化支援を重視し始め、民主化に関する経験共有や、民主的制度の運営に必要な技術・物資・資金の提供を開始したのである。本稿は、本研究を(これら二カ国を含む)第三世代の民主化支援アクターに関するパイロットスタディと位置づけ、これら二カ国による民主化支援の現状と動機を分析する。

本稿の分析結果は以下の通りである。日本とインドネシアの民主化支援は開始時期のみならず支援内容においても類似性を有しており、両国はともに体制適合的アプローチ(regime-compatible approach)を取っていた。また、両国を民主化支援に駆り立てた要因に関する分析の結果、民主主義規範は説明変数ではなく背景要因に留まり、戦略的動機が介在していることが明らかとなった。インドネシアは国際的地位の向上に合わせて国際的影響力拡大を目的に、日本は国際的地位の低下を受けて国際的影響力の維持・拡大を目的に、民主化支援を外交ツールとして利用し始めたのである。つまり、両国の戦略的動機は媒介変数であり、国際パワー構造の変動が独立変数として機能していた。

キーワード:民主化支援、国際パワー構造、戦略的動機、民主主義規範、ODA、体制適合的アプローチ、日本、インドネシア



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