JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.203 Prospects of Integrating Biodiversity Offsets in Japan’s Cooperation Projects: A Review of Experience from Developing Countries

開発行為に伴う生物多様性の喪失は継続している。なぜなら、大半の開発行為で必ず生物多様性の喪失が生じるためである。現行の環境アセスメントにおける緩和策では、ノーネットロス(マイナスの影響をプラスの影響により相殺してプラスマイナスをゼロにすること)の目標を達成することは、ほとんどできない。ミティゲーション・ヒエラルキー(開発によって生じる影響を回避・最小化・復元した後に残る影響に対してオフセットを適用する)に沿ってノーネットロスを実現するために、国際開発援助分野において生物多様性オフセットが適用されている。しかし、途上国における援助事業を担当する実務者を対象とした、オフセット事業計画用の参考資料はほとんど存在しない。

本ワーキングペーパーの目的は、日本の開発援助事業にオフセット事業を組み込むための実際的な方法を示すことである。本ペーパーでは、学術論文のレビューと開発途上国における最近の4つのオフセット事業のケーススタディを踏まえている。本ペーパーは、環境アセスメントの枠組みにオフセット計画を組み込む必要性を提唱し、ケーススタディ分析を踏まえてノーネットロスを達成する生物多様性オフセットの展望を分析している。オフセットポリシーの導入、ポリシーを運用する政治的意思、及び途上国への長期的な支援が、オフセットの成功にとって重要であると結論している。オフセットへの日本の取組は、途上国における生物多様性と生態系サービスの保全の推進に大きな影響を与えることになろう。


キーワード:生物多様性オフセット、援助事業、ノーネットロス、環境影響評価、生態系サービス

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