JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.211 A Spatial Equilibrium Analysis of Air Pollution in China

本稿では、生産・消費活動に伴い発生する大気汚染を明示的に内生化した空間均衡モデルを構築した。本モデルには、異なるタイプの労働者(熟練労働者と未熟練労働者)を導入し、大気汚染に対して異なる選好を持つ両者が国内を移住できると仮定した場合の、地域的な環境政策の効果について考察した。

2010年時点での中国のデータに対してモデルのパラメータを較正(キャリブレーション)してシミュレーションを行ったところ、地域的に厳格な環境規制がその地域への「向心力(centripetal force)」として働き、労働者や生産活動を当該地域に引き付け、同時に当該地域及び国全体の汚染排出を削減しうる場合があることが分かった。この結果は、地域的な環境規制を 「遠心力(centrifugal force)」と見る従来の考え方とは異なるもので、生産要素(労働力)の移動などを明示的に導入したことで得られたものである。

続いて、中国全体で10パーセントの工業大気汚染排出を減らすために、削減責任を地域的にどのように割り当てるべきかを考察した。その結果は、少数の豊かな地域に削減責任を集中させる方が、より平等に責任配分をするよりも厚生面および経済生産面で優れたパフォーマンスを上げ得ることが分かった。


キーワード: 中国、大気汚染、国内移民、空間均衡モデル、環境規制

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