JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.219 Impacts of the Interest Rate Ceiling on Microfinance Sector in Cambodia: Evidence from a Household Survey

本稿ではカンボジアにおいて2017年4月に導入されたマイクロファイナンス機関への貸出上限金利規制の影響について分析を行った。分析にあたって、2019年に家計が上限金利規制以前に借りていたローンと上限金利規制以後に借りたローンも含めて、家計の経済状況について1000家計を対象に調査を行い、データを収集した。データ収集の際は、現地の信用情報機関であるCredit Bureau Cambodiaとマイクロファイナンス機関の業界団体であるCambodia Microfinance Associationの協力の下、カンボジア国内で実際に借入をしている家計あるいは借入をしていた家計をすべて特定し、それらのグループに属する家計をランダムに訪問しインタビューを行うという方法を用いた。

分析の結果、上限金利規制後に平均的に名目金利は下がっていることが分かった。また、上限金利規制後は取引手数料の対借入額比が平均的に上がっており、名目金利の減少を部分的に相殺する傾向にあることが分かったが、手数料も含めた実効金利は平均的に下がっていることが分かった。また、分析では、上限金利規制前に比較的に小さい借入を行っていた家計において規制後の借入金額が平均的に上昇している傾向にあることが明らかになるとともに、増加幅は小さいもののインフォーマル金融からの借入が増えていることが明らかになった。さらに、上限金利規制以降低所得の家計は比較的高い確率で借入の申請が断れていたことが分かった。

また、借入額が高い家計ほど債務返済の対所得比が高い傾向にあった。つまり、比較的に小さい借入を行っていた家計ほど規制後に借入金額が上昇している傾向にあったことを踏まえると、規制により小口借入の家計はより高い債務負荷(Debt Burden)を負う傾向にある可能性があると考えられる。

さらに、分析では家計の金融リテラシーを測定し、家計の債務負荷との関係についても分析を行った。結果として、金融リテラシーが高い家計ほど、債務負荷が小さい傾向にあることが明らかとなった。つまり、債務負荷およびデフォルトリスクを軽減するためには家計の金融リテラシーの強化が有用であると考えられる。


キーワード: 金利上限規制、マイクロファイナンス、カンボジア、金融包摂

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