JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.222 Strengthening Teacher Support for Students to Improve Math Learning: Empirical Evidence on a Structured Pedagogy Program in El Salvador

近年、教育開発分野では初等教育段階における学習の危機が盛んに議論されるが、前期中等教育段階における学習の危機も同様に深刻である。世界の前期中等教育学齢期の子どもの約6割の数学の学力は、同教育段階で最低限到達すべき水準に達しておらず、その大半は低所得国及び低中所得国の子ども達である。それら子ども達の数学の学習改善を図るアプローチの一つとして、教授・学習教材の提供や教員研修等の複数のコンポーネントの介入パッケージからなる"Structured pedagogy program"がある。"Structured pedagogy program"による生徒の数学の学習成果への効果は、提供された教材を教員が有効に活用して生徒への学習支援を強化することにより、さらに向上されうる。

本研究は、エルサルバドル国における算数教科書の配布を含む"Structured pedagogy program"を事例とし、生徒の数学テスト結果をもとにした教員間の定期的な振り返り等の介入を組み入れることにより、介入パッケージによる生徒の数学学習改善への効果が向上するかをランダム化比較試験により検証する。本研究では、公立学校の前期中等1学年の生徒を2年間にわたって追跡した。調査1年次に、介入による効果は、生徒の数学テストの0.18標準偏差と推定され、その効果は家計の経済的地位の中程度から低い層に見られた。他方で、対照群においても、教員間の振り返り等の同様の介入が行われた調査2年次には、介入群と対照群の間で生徒の数学の学習成果における差はみられなかった。さらに、本研究では、調査1年次のデータに焦点をあて、媒介分析(Causal mediation analysis)の手法を用い、"Structured pedagogy program"に組み入れられた教員間の定期的な振り返り等の介入から学習成果向上への因果経路を分析した。

キーワード: 教育開発、数学学習、前期中等教育、中南米地域、インパクト評価

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