No.33 Social Capital as an Instrument for Common Pool Resource Management: A Case Study of Irrigation Management in Sri Lanka

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本論文は灌漑用水路における上流下流間の資源配分に対し、社会関係資本が与える影響を検証したものである。社会関係資本は共有資源管理の重要な手段であると考えられているが、プレーヤー間に異質性があった場合のその効果については明らかではない。灌漑管理については、上流と下流との間の用水配分はそのような深刻な問題の一つである。本論文ではJICA によって収集された経済学実験及び通常の家計調査データを用い、特に下流農民に対する信頼という意味での社会関係資本が上流農民の用水使用の満足度にプラスの影響を与えていることを発見した。上流農民にとっての灌漑用水配分におけるインセンティブ構造が独裁者ゲームや信頼ゲームのインセンティブ構造に類似していることから、この結果は実験的手法によって計測された社会関係資本の妥当性を支持するものでもある。さらに、本論文では主観的満足度と社会関係資本との間の同時方程式バイアスにも対処しており、この結果OLS 推定量に下方バイアスがかかっていることを発見した。この結果は、資源の希少性が社会関係資本を高めるという仮説と整合的である。