JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.65 Does Infrastructure Facilitate Social Capital Accumulation? Evidence from Natural and Artefactual Field Experiments in a Developing Country

ソーシャルキャピタル(社会関係資本)は広い注目を集めてきたが、その蓄積のメカニズムに関する研究は数少ない。本論文では、「他人への信頼」というソーシャルキャピタルの最も重要な側面について、その決定要因を探るため、インフラストラクチャーが社会関係資本に与える影響について、「習慣形成仮説」と「繰り返しゲーム仮説」の二つの仮説の妥当性という側面から分析を行う。我々は南部スリランカの灌漑プロジェクト地域において、開拓地がくじによって無作為に分配されたことを自然実験として用い、被験者内設計(within-subject design)のトラストゲームというフィールド実験によって把握された信頼感データと結合することで分析を行った。結果から第一に、灌漑システムの内部における距離が信頼感を有意に決めることが分かった。このことは、一般的信頼(general trust)よりも個別的信頼(particularistic trust)の方が一般に強いことを示唆している。また、同じ灌漑分配水路内における信頼感については、各農民の灌漑アクセス年数が有意に関連しているものの、農民間の関係性は統計的に有意な関係を示さなかった。このことは、個別的信頼であらわされるソーシャルキャピタルについても、繰り返しゲーム的なメカニズムを通じてではなく、習慣形成を通じて蓄積されることを示している。

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