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ミャンマー経済の現実と課題

90年代後半から開放路線に向かうと見られたミャンマー政府に対し、JICAは2000年から2003年まで「ミャンマー経済構造調整支援」を実施し、経済社会発展についての提言を行いました。しかし、その後ミャンマー軍政は、内部の権力闘争とそれを支える中国の支援もあり、内向き政策を志向した結果、それら提言が有効に生かされることはありませんでした。ミャンマーは、その後もますます国際社会(特に欧米)からの孤立を深め、天然ガス収入などに依存しながら所得分配の不平等が拡大したままの発展を続けていました。本研究では、その高い潜在能力にもかかわらず経済・社会の停滞が続いているミャンマーについて、生活水準を高め、一般市民を生活の不安から解放し、独自の文化・文明の発揚のため安んじてその能力を投入できる状態を実現するための提言を、ミャンマー経済の現状を分析した上でまとめました。

先行研究が必ずしも総合した全体像を把握していないことを補完するものとして、本研究の成果をまとめた書籍「ミャンマー経済の新しい光」が2012年に出版されました。この書籍には、経済学の視点にこだわることなく、政治、社会・文化、歴史などの隣接ジャンルを可能な限り包含し、さらに最近のいくつかの観察結果を参考に、日本から見た21世紀ミャンマー経済の全体像と望まれるその将来像とが描かれています。2015年には、上記書籍に、その後の動きや新しい知見を加えて大幅に改定増補した書籍「ミャンマー経済-その過去・現在・未来」(日本語および英語)が発刊されました。

研究領域
経済成長と貧困削減
研究期間
2008年10月01日 から 2010年12月31日
主査
尾高 煌之助

研究成果(出版物)