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東アジア通貨危機からの回復の政治経済学

1997年から98年の通貨金融危機によって傷ついた東アジア諸国は、大方の予想よりも早いスピードで回復を遂げました。しかし危機以前には広く行われていたこれら諸国についての政治経済学的研究は、危機以後は下火になっています。危機を契機に市場メカニズムの優位性が声高に唱えられたのが、その一因です。本研究では、経済学者と政治学者による緊密な協力の下で実施され、危機前に東アジア諸国の高度経済成長を助けたと言われた市場補完型の諸制度が、危機を契機にどのように変わったのか、その変化は危機以後の経済回復をどこまで説明するのかを探究しました。同時に、やはり危機を契機に進んだアジア諸国の民主化や地域統合の進展が、経済発展のパターンにどのようなインパクトを与えたのかについても分析されました。

研究の結果、二度の金融危機からの急速な回復が可能になったのは、各国の政治経済制度がグローバル化と上手く結びつき、その結び月から利益を得ることができたためである、と結論付けられました。他方で、同地域に共通する問題として、中所得国の罠、対外的な経済の脆弱性、グローバル化の中の政府の役割なども抽出されました。成果物として、13本のワーキングペーパーが執筆され、また、国内外の政治学者、経済学者に向けて発信されました。他方で、同地域に共通する問題として、中所得国の罠、ワーキングペーパーを改定した上で、論文集として海外の出版社から英語書籍が出版されました。国内外の同地域に共通する問題として、中所得国の罠、対外的な経済の脆弱性、グローバル化の中の政府の役割なども抽出されました。