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開発協力戦略の国際比較研究:G20新興国を中心に

近年の新興国の台頭は政治経済に大きな影響を与えていますが、開発援助の世界においても、中国、インド、ブラジル等、DACに加盟をしていない国々による援助の増大が顕著にみられ、「新興国ドナー」として着目されています 。また、新興国による援助の実態およびその効果をめぐっては、実務上および学問上も様々な議論の対象となっています。本研究は、新興国による開発協力の多様な実態、従来の開発協力との差異を把握し、その差異の原因を特定するとともに、被援助国に与える影響を分析することを目的としました。そして、新興国を含めた開発援助コミュニティにおける日本の相対的な立ち位置を特定し、今後の開発協力のあるべき方向性への示唆を得ることも目指しました。

研究の成果として、過大評価されがちだった中国の対外援助量を一次資料に基づき推計した結果は国際的に大いに注目されました。また、等閑視されがちなインド、インドネシア等の新興国の援助活動の実態を解明し、途上国間の知的交流が途上国の開発に果たす大きな潜在的可能性を指摘しました。我が国の援助によって移転された知識や経験がタイ等の新興国によってどのようにその援助活動で活用されているかの解明も試みました。さらに、開発協力という形態での途上国相互の交流の潜在的可能性も指摘しました。これらの成果について、ドイツ開発研究所(DIE)での講演やDIEとの共催シンポジウムで発表したほか、政策担当者等へのブリーフィングやプレス対応を30件以上実施しました。

研究領域
開発協力戦略
研究期間
2012年11月01日 から 2014年09月30日
主査
北野 尚宏志賀 裕朗

研究成果(出版物)