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GRIPS-ODI-JICA 合同セミナー「変化する世界経済とアフリカの成長」開催

2009.03.23

世界同時不況の中で途上国経済はどうなっていくのか。11月27日に、JICA研究所は政策研究大学院大学(GRIPS)開発フォーラムと合同で、サイモン・マックスウェル英国海外開発研究所(ODI)所長とエリー・E・E・ムタンゴ駐日タンザニア大使らを迎えセミナーを開催しました。このセミナーでは現下の世界的な金融危機に対するアフリカの脆弱性をどう補うべきか、またこうした脆弱性克服を含むアフリカの持続的な成長に向けた支援策と、先の5月に横浜で開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)のフォローアップが検討されました。

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ムタンゴ駐日大使はアフリカ諸国が過去10年間平均5%のGDP年間成長率を維持していたものの、欧米の景気悪化がアフリカに「二次的損害」をもたらし、貿易、金融市場、外国投資、ODA、観光業、MDG(ミレニアム開発目標)達成などに影響を及ぼし始めていると報告しました。そして「アジアの経験をアフリカへ」を基調にしたTICAD IVで採択された横浜行動計画の進捗確認を訴えました。

マックスウェルODI所長は、アフリカの将来へのアプローチを2通りに分類し、まず直近の危機への対応について、アフリカが持つリスクと脆弱性の十分な認識、人間の安全保障の原則、開発に直結する行動、マクロとミクロの手段の有効な組み合わせ、包括的な対応、各国が一丸となって取り組む重要性を訴えました。他方、長期的な開発については (1)中国の台頭とグローバリゼーションに対する十分な分析、(2)安全保障と開発の関係、(3)国家開発からグローバル公共財重視へのシフトを3つの重要課題として挙げました。

一方、GRIPSの細野昭雄教授は、アジアとラテンアメリカが共に過去の深刻な金融危機を乗り越えた経験を持つことから、アフリカにも参考となり得る (1)健全なマクロ経済政策、(2)地域統合と協力、(3)競争力のある産業部門と企業の育成を挙げました。

また大野泉GRIPS教授はTICAD IVの横浜行動計画に踏み込み、日本政府が早急にアフリカに対する新しい地域全体と各国別の具体的な支援ビジョンを打ち出していく必要性を述べました。その際の基本的観点として、(1)アジアでの経験を踏まえたアフリカ諸国との持続的な政策対話と長期的なパートナーシップ、(2)少数の重点対象国を設定し、成功体験を生み出すこと、(3)日本の成長支援策を官民の国際的提携により実現することの3つを強調しました。

渡辺松男JICA客員専門員はアフリカの産業振興に、(1)参考モデル、(2)自らの意思を実現する自由な政策空間、(3)多様な開発戦略、(4)高度な産業政策を行う制度的能力、(5)十分な官民提携などが欠けているとし、これらを補う援助コミュニティーが情報と教訓の提供、開発政策コンサルテーション、仲介とバックアップを行うことを提案しました。

一方ODA実施の最前線で活動する押山和範JICAアフリカ部長からは、JICAのアフリカ経済成長加速化への支援策と実施事業が紹介されました。(1)地域・越境インフラの開発(モザンビークマラウイザンビアを結ぶナカラ回廊)、(2)官民提携の強化(マダガスカルのトアマシナ港)、(3)国際開発金融機関との提携、(4)経済振興への重点活動(一村一品事業、ケニア-タンザニア間国境通過施設整備)などを挙げ、アフリカ投資事業に積極的な中国との協働に積極的な姿勢を示しました。

関連ファイル

問い合わせ先

GRIPS-ODI-JICA 合同セミナー事務局 岩橋美智子
Email: michiko@grips.ac.jp / Tel: 03-6439-6337 / Fax: 03-6439-6010

開催情報

開催日時:2008年11月27日(木)
開催場所:政策研究大学院大学(GRIPS)六本木キャンパス

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