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JICA-ODI共同研究セミナー「タイ、マラウイ、日本の一村一品運動比較研究から見た課題と今後のサブサハラアフリカへの普及の可能性」開催

2009.03.23

一村一品運動は地域経済の活性化を目指し、1979年に日本の大分県で始まりました。「ローカルにしてグローバル、自主自立・創意工夫、人材育成」を三原則に、今やアジアやアフリカ諸国など世界12カ国以上で展開しています。JICA研究所では2007年7月から英国のODI(英国開発研究所)と共同でタイ、マラウイ、日本に焦点を当てた一村一品運動の比較研究を行ってきましたが、その中間報告として2008年12月11日にODIのフレッチャー・テンボ博士を招いて共同セミナーを開催しました。この研究は各国の一村一品運動の特徴を明確化・比較することで、サブサハラアフリカでの有効な運動拡大に資することを目的としています。

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今回のセミナー開催に先立ち、JICA研究所の黒川清登研究員とテンボ博士は大分県別府、湯布院、安心院、そして大山町などで一村一品運動の現状を視察しました。運動の創始者である平松守彦元大分県知事との交流、道の駅、手工芸センターなどの見学を含め、中小企業振興やエコツーリズムを現地調査したテンボ博士は、本セミナーで、一村一品の最も大切な点は地域の製品・サービスに対する人々の意識を変え、付加価値を創り上げる点であると強調しました。また多種多様な資源が商品としての可能性を秘めている事実に触れ、この大分での視察経験が必ずやアフリカの人々にも役立つと述べました。

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マラウイ出身で英国で博士号を取得したテンボ博士は、日本で自発的に広がった一村一品運動と比較しマラウイの運動の特徴が行政主導であることを指摘しました。マラウイはJICAなどの援助を受けて2003年にアフリカ初の国営一村一品事務局を設立し、小口の資金を各事業に提供しています。テンボ博士は各マラウイ製品の品質向上のために、政府が関与しながら地方分権と地域の生協団体の強化を進める必要があると述べました。

黒川研究員はタイの一村一品運動についてプレゼンテーションを行い、マラウイと同様タイでもこの運動が中央政府主導であることを説明しました。2000年の導入以後、一村一品のロゴは高品質の証として広く認知されるようになったものの、この政策は成功者優遇としての性格を持ち、やはり地方分権を進めることが貧困削減に必要との見方を示しました。

今回のセミナー参加者の反応は極めて前向きでした。日本政府は既にアフリカでの一村一品運動の拡大に尽力することを表明しています。従ってこの研究もさらにアフリカ諸国に拡大され、多くの現場の分析や政策課題の研究が行われることが期待されます。今回のタイ、マラウイ、日本の一村一品運動の比較研究は、2009年3月にはまとめられる予定です。

開催情報

開催日時:2008年12月11日(木)
開催場所:JICA研究所

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