JICA研究所 武藤研究員が「アジア大都市の気候変動への適応」に関するJICA、世銀、ADBの共同研究を国際学術会議にて中間発表

2009.05.12

2月26日から28日、アジア沿岸部の大都市における気候変動をテーマにバンコクで開催された国際学術会議(Cities at Risk: Building Adaptive Capacity for Managing Climate Change in Asia's Coastal Megacities)において、JICA研究所の武藤めぐみ研究員が、2050年までの温暖化シナリオを考慮したマニラの社会・経済・インフラへの影響分析結果を中心に中間報告を行いました。

この報告は、現在JICA研究所が世界銀行、アジア開発銀行(ADB)と共同実施中である「気候変動がアジアの大都市に与える影響研究」に基づくものです。

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本研究では、気候変動によって大きな影響を受ける可能性が高いアジアの大都市(コルカタ、バンコク、ホーチミン、マニラなど)に焦点を当て、2050年を想定した(1)気温上昇、海面上昇、台風強化などの変化を考慮した洪水のシミュレーション、(2)その社会経済への影響分析、 (3)「適応」の方策を検討、(4)アジアの大都市が成長する過程で公共部門が積極的に進めるべき「気候変動対策パッケージ」を描き出す予定です。

都市の気候変動リスクを具体的に数量化し、それに基づき都市の適応オプションを示した研究は従来ほぼ皆無でした。本研究では特に、気候変動の影響について将来の不確実性を踏まえつつ、全地球ではなく、特定地域に焦点を当てた工学的分析と社会経済的分析を組み合わせることで、気候変動への具体的な「適応」政策を示唆することを特徴としています。

武藤研究員の報告は、経済協力開発機構(OECD)、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)などでの「適応」問題に詳しい識者80名を超える会議参加者に新たな視点を提供し、活発な議論を導き出しました。

この学術会議は地球環境変動問題の国際研究ネットワークである地球変動分析・研究・研修システム(START)、および米国イーストウェストセンター、茨城大学・地球変動適応科学研究機関 (ICAS) 、東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)が、国際科学会議(ICSU)、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)、チュラロンコーン大学などの協力を得て開催されました。

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開催情報

開催日時:2009年2月26日(木)~2009年2月28日(土)
開催場所:バンコク チュラロンコーン大学 モンティエン・ホテル・バンコク

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