ボスニア・ヘルツェゴビナの事例を用いて、平和構築における選挙と帰還の関係性についての研究成果を発表
2010.11.08
10月29日から31日、札幌市で開催された日本国際政治学会2010年度研究大会に片柳真理研究員が参加し、「国際関係研究の新たな潮流」をテーマにした部会で、「平和構築における選挙と帰還の関連に関する考察—ボスニア・ヘルツェゴビナを例に」を発表しました。
発表は、はじめに民族浄化が行われたような紛争後の平和構築において、難民や国内避難民の選挙権が国際法上どのように保障されているかを概観し、次にボスニア・ヘルツェゴビナ(BH)においてはどのように扱われてきたかを、惨状の場として知られたスレブレニツァ地区での特別な選挙権の措置などの事例を交えながら論じました。そして、強制移住させられた人々が元の選挙区に投票できるようにすることは、以前居住していた地区への所属を保障することになる、帰還の第一波を待ってから選挙を行うことで平和構築への効果が高まる、と結論づけました。
これについてコメンテーターから以下の質問があり、片柳研究員は順次回答しました。
—平和構築における選挙の意義は何か?—
「平和構築における選挙は民主的に選出された正統性のある政府を設立し、民主化のプロセスを開始すること、また和解を進めるとも言われるとの説明をした上で、和解を進めるという点で言うとBHの例は疑問がある」
—様々な課題がある中で帰還にどれほどの重点を置くべきか?—
「BHでは民族浄化を許さず、その前の状態に戻すことが目指されたために帰還が非常に重要であったが、紛争直後から帰還をより支援すべきであったのではないかと考える」
—デイトン合意※は成功か失敗か?—
「デイトン合意は武力紛争を終結させたという意味では成功でも、そこでデザインされた権力分掌が民族の分断を固定化させたという意味で問題があり、何がより良い方法であったのかという点は引き続き研究していきたい」
今回の学会発表を通じて片柳研究員は「国際法のバックグラウンドを生かしつつ法律と政治の交わる部分の研究を進めていきたいと考えていることから、発表やそれに対して頂いたコメントは今後の研究の方向性を考える上で良いきっかけとなった」と話しています。
※1995年11月、米国オハイオ州デイトン空軍基地で締結した和平協定(正式名称はボスニア・ヘルツェゴビナ和平協定)。内容には、1995年当時の国境線のまま統一国家として存続することや、首都をサライエボとしてボスニア連邦が統一管理すること、難民・避難民の帰還の保障などが盛り込まれた。
関連研究領域:平和と開発
JICA研究所 企画課
電話:03-3269-2357
開催日時:2010年10月29日(金)~2010年10月31日(日)
開催場所:札幌コンベンションセンター
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
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