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ブラウン大学ストーリングス教授が日本・韓国・中国のODAを取り巻く潮流の変化について講演

2011.11.08

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東アジアのドナーによるODAについて発表するストーリングス教授

JICA研究所は10月27日、米国ブラウン大学のバーバラ・ストーリングス教授を迎えセミナーを開催しました。ラテンアメリカと東アジアの経済改革・開発を専門としている同教授は、本セミナーで「日本・韓国・中国: 東アジアにおけるODAを取り巻く潮流の変化」と題する講演を行いました。

教授は過去にチリの国連ラテンアメリカ経済委員会(ECLAC)で経済開発課長を務め、現在は韓国梨花女子大学で韓国の対外援助に関するプロジェクに携わっています。

まず始めに、ストーリングス教授はODAの規模や地理・セクター別の配分について、東アジアの4大ドナーである日本、韓国、中国とアジア開発銀行を西欧ドナーと比較し、その対比を示しました。分析結果は、アジアのドナーによるODAでは東アジア地域に対する供与が非常に多く、加えて経済インフラや生産セクターへの援助傾向が高いという特徴を明らかにしました。また、アジア・西欧間には援助哲学の相違があると指摘し、西欧ドナーが貧困削減やガバナンス改善のために最貧層へ直接働きかける支援を実施してきたのに対して、アジアのドナーは自らの経験から、経済成長を促進することが後に貧困削減やグッドガバナンスの実現につながるという考えのもと、より間接的な援助アプローチを推進してきたと教授は分析します。さらに、韓国や中国のODAは、アジア最大のドナーとして長きにわたり援助を実施してきた日本の影響を受けており、そのため各国の取り組みには類似点が見られると説明しました。

最後に、ストーリング教授は被援助国の事例としてベトナムの状況を紹介しました。教授の分析によると、アジアのドナーによるODAやアジア地域からの海外投資はベトナムの急成長を大きく後押しし、一方でベトナムも経済インフラや生産セクターに特化したアジアの支援策をより好んで受け入れたということです。

ストーリングス教授の発表後、JICA研究所の加藤宏副所長は補足として、日本のODAの歴史や経緯、そして現在の援助実施状況などについて説明しました。加藤副所長は、「日本は膨らむ国の借金や震災からの復興などさまざまな問題を抱えているが今後も強い意志を持って開発援助に取り組んでいく」として、過去50年間で得た「創造力・人的ネットワーク・知見」を活用し最善を尽くしていきたいと述べました。

開催情報

開催日時:2011年10月27日(木)
開催場所:JICA研究所

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