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「開発思想の歴史」セミナーを開催:援助の専門家に「開発」の再考を促す

2011.12.20

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Rohinton Medhora氏

12月15日、JICA研究所はカナダのInternational Development Research Centre(IDRC)から副所長のRohinton Medhora氏を迎え、「開発思想の歴史」と題したセミナーを開催しました。

Rohinton Medhora氏は経済学者であり、その専門知識はグローバリゼーションや金融政策から援助効果まで幅広い分野にわたります。1970年以来成長と開発を目的として開発途上国で研究を支援しているカナダの公共団体IDRCにて研究プログラムすべてを指導しています。

Medhora氏は現在、開発思想に関する書籍を共同編集中であり、講演ではこの書籍の概要が紹介されました。この著作では、開発に関する重要課題、さまざまな分野(国と社会、平和と安全保障など)における概念や理論、およびさまざまな国、関連組織や団体などの経験が取り上げられる予定ということです。

Medhora氏は、戦後50年間に及ぶ経験から、どこでも成功するような開発のパラダイムは存在しないことがわかってきており、我々はこの事実を受け止めなければならないと語りました。また同氏は、「2008年から2009年以降の経済危機により、問題を解決するうえでの絶対的な方法は存在せず、実際はそれぞれの国が独自の見解を持ち、それらすべてが共存していることを世界は認識した。」と述べています。さらに、「知識はグローバル化されて、優れたアイデアもすでにグローバルに流通するようになっているため、その応用や適応も同様にグローバル化されなければならない。」と強調しました。同氏は、2013年初頭に発刊予定の当書籍は、開発に関する見解や知識が「複数存在」し多様であることが反映されたものになると述べました。

Medhora氏はまた、開発という分野はいまだ細分化されており、書籍の各章を担当する著者は開発を理解するために学際的なアプローチで問題に取り組む予定であると述べ、「結局のところ、開発は、経済学や政治学などに限った問題ではない。」と結んでいます。

氏の講演後、佐藤寛JETRO アジア経済研究所 開発スクール(IDEAS)事務局長/国際交流・研修室 室長および加藤宏 JICA研究所 副所長がコメンテーターとして参加しました。佐藤氏は、「development(開発)」という言葉のニュアンスが言語や文化によって変化すると指摘し、こうしたニュアンスとさまざまな国が実際に採用する開発アプローチ間に関連性が存在する可能性を示唆しました。一方で加藤副所長は、「開発の再考」と題した短い発表を行い、援助分野に関与している日本人は、政府開発援助(ODA)の枠組みからだけではなく、より幅広い枠組みから開発について考える必要があると述べました。さらに、日本のODAの歴史およびその概念の変遷を簡単に紹介して、ポストMDGs(ミレニアム開発目標)の時代に目を向けて世界が新しいパラダイムで開発について考える必要があることを強調しました。

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Medhora氏はセミナー終了後、JICA / JICA研究所とIDRCにいかに共通点が多いかを知ったことは大きな喜びだと語りました。同氏は、「類似点は、我々にとっての研究の重要性、研究と根拠に基づく政策立案を通して南南協力および南北協力の推進の重要性、ならびに世界中での革新的な能力の確立に対し我々が感じる価値などで、その意味で我々は共通の使命を持っている。」と話しています

ムービー・コメンタリー

Dr. Rohinton Medhora
Vice-President, Programs, International Development Research Centre, Canada

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