JICAとSOAS共催でアフリカのインクルーシブな開発に関するワークショップを開催

2013.03.01

JICAとロンドン大学東洋アフリカ研究学院(The School of Oriental and African Studies: SOAS)共催のワークショップ、「アフリカにおけるインクルーシブな開発の制度的基盤」が、英国、ロンドンで2月15、16日の二日間にかけて開催されました。この会合は、昨年同じくSOASで行われた第一回目のワークショップ、「アジアとアフリカにおける経験の比較分析に基づいたインクルーシブな開発の制度的基盤を理解する」に続いての実施となりました。

昨年の第一回ワークショップでは、制度、その構造とダイナミックスが、どのようにアジア、アフリカ諸国の開発過程での多様性や類似性に影響を与えるかを深く掘り下げた最初の試みとして実施されています。このワークショップで、JICAは「レジリエンスとインクルーシブな開発」など、相互に関連した8分野での研究領域を提示しました。

今回の第2回ワークショップでは、前回の8分野における研究成果と、それに基づいた政策提言について議論する目的で実施されました。主な参加者は、Gustav Ranisイェール大学教授、Erik Thorbeckeコーネル大学教授、Andy MacKayサセックス大学教授、Thandika Mkandawireロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授ほか、日本からは、高橋基樹神戸大学教授、寺西重郎一橋大学名誉教授、JICA農村開発部の窪田審議役、国際機関からは、UNECA、アフリカ開発銀行、アジア開発銀行(駐英代表)、UN-WIDERなどが参加しました。JICA研究所からは、細野昭雄所長が出席し、15日の第2セッションで8分野の1つである「レジリエンスとインクルーシブな開発」のテーマの研究成果を基にした政策提言を発表しました。

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細野所長の発表の様子

所長は発表の中で、「貧困層は、ほかの住民に比べて災害発生の危険度が高い地域に住んでおり、それ以外の場所に住む選択肢がないためリスクにさらされる度合いが高いことから、レジリエンスを強化することは、貧困層が社会から除外されないために大切である」と、述べました。また、途上国での災害リスク管理には次の3つの要素が不可欠だと指摘し、1.日本での東日本大震災における例を取り上げ、リスクに対する予防とその削減、2.気候変動や都市化など、時の経過とともにリスクが変化していくことへの取り組み、3.政府、特に地方政府、コミュニティ、住民のキャパシティ・ディベロップメントの重要性などを挙げました。さらに、途上国における防災対策の一例として、ラテンアメリカにおけるJICAのBOSAI、TAISHINプロジェクトなどを紹介するとともに、スラムをはじめとする都市再開発が都市部の貧困層のリスクの軽減、災害防止に効果的な方法であると指摘しました。

総括セッションでは、SOASのマチコ・ニサンケ教授と細野所長が議長を務め、神公明JICA英国事務所所長の発表を基に、アフリカにおけるインクルーシブな成長と開発への政策提言の総括を行いました。

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マチコ・ニサンケ教授(左)、細野所長(左から2番目)

開催情報

開催日時:2013年2月15日(金)~2013年2月16日(土)
開催場所:英国、ロンドン

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