jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

ADBとJICA研究所の共催でガバナンス・レポート・コンサルテーションを実施

2013.11.05

10月31日、アジア開発銀行(ADB)駐日代表事務所とJICA研究所の共催によるガバナンス・レポート・コンサルテーションが、アジア開発銀行研究所(ADBI)にて開催されました。

10月にアジア開発銀行(ADB)から発表された「アジア経済見通し2013年改訂版 (Asian Development Outlook Update 2013)」にてガバナンス課題が取り上げられたことを受け、ADB本部から同報告書の担当者である、アシスタント・チーフ・エコノミストのジョゼフ・アーネスト・ズベグリッチJr.氏を迎え、同報告書をベースにアジア太平洋地域におけるガバナンス改革を中心とした意見交換を目的として実施されました。同コンサルテーションには、国内有識者やADB・JICA職員等15名が参加し、JICA研究所からは北野尚宏副所長、室谷龍太郎研究員他3名が参加しました。

全体3080.jpg

ADBズベグリッチ氏(左)、JICA桑島客員専門員(中央)、
アジア経済研究所川中主任研究員(右)

冒頭、玉置知己ADB駐日代表より、開会の挨拶としてADBの活動や本日の趣旨説明が行われた後、コンサルテーションに移りました。

まずはじめに、ズベグリッチ氏は、同報告書の概要を紹介し、「アジア太平洋地域は経済成長に見合ったガバナンスの実現に向けた取り組みを進める必要があり、公共サービス・デリバリーの改善はより広範なガバナンス改革に向けての効果的なエントリーポイントに成りうる」との考えを発表しました。

次に、コメンテーターとして、JICAからは桑島京子客員専門員が、アジア経済研究所から川中豪主任研究員が、ズベグリッチ氏の発表に対しコメントを述べました。

桑島専門員は、同報告書はガバナンスの各要素と開発との相関を分析するうえで、各種ガバナンス指標の長短を踏まえて慎重に取扱っている点では評価できるが、回帰分析ではアジア地域内でも多様性を示していること、歴史・社会コンテクストに即したガバナンス改善アプローチを示唆する一方で、OECD諸国をベンチ・マークとする「アジアのガバナンス・ギャップ」の改善が急務とするスタンス(gap-filling approach)をとることは、アジア地域の多様性にたったアプローチとは矛盾しかねないことを指摘しました。また、公共サービス・デリバリーを起点とするガバナンス改革には共感しつつ、その有効性を追求するうえで、さらなる分野別の個別事例分析の重要性を指摘しました。

川中主任研究員は、ガバナンスとひとくくりにするのではなく、国家の能力と民主主義の2つの要素に分けた上で、ガバナンス向上の過程を国家の能力向上から民主主義へという段階を経るプロセスとして捉える必要性と、政治的な文脈や社会構造への着目の重要性に言及しました。

その後フロアとの活発な意見交換が行われました。北野副所長が最後に閉会の辞として、今後もJICA研究所はADBとの更なる連携・協力を推進していきたい旨述べ、閉会しました。

開催情報

開催日時:2013年10月31日(木)
開催場所:アジア開発銀行研究所(ADBI)

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ