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TICAD Vサイドイベント「アフリカ開発の展望と課題—2050年に向けて—」を開催

2013.06.04

JICA研究所は、6月3日、「今後のアフリカ開発の展望と課題—2050年に向けて—」をテーマにTICAD Vサイドイベントを横浜インターコンチネンタルホテルにて開催しました。本イベントは、2050年のアフリカの経済・社会構造を予測し、より良い経済・社会の実現を目指すために、アフリカ諸国の政府および開発パートナーがとるべき具体的な政策について議論する目的で実施されました。

荒川博人JICA理事がモデレーターを務めた本イベントでは、まず2050年のアフリカの長期展望について、米国センテニアル社のセオドア・アーラース シニア・アソシエイトが発表し、続いて行われたパネルディスカッションでは、カナヨ・ヌワンゼ国際農業開発基金(IFAD)総裁、アブドゥリ・ジャネ元国連アフリカ経済委員会(UNECA)事務局長、勝茂夫カザフスタン・ナザルバエフ大学学長が登壇し、 JICA研究所から加藤宏所長もパネリストとして参加しました。

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加藤所長

最初に、アーラース氏は発表の中で、アフリカ大陸における今後GDPの成長率や海外投資の見通しは不安定であると述べた上で、2050年の将来を考える場合、アフリカ諸国がその他の国々に追いつけるかどうかは、今後の約40年にかかっていると指摘しました。同氏は、アフリカと他の地域との比較として、一人あたりの国民総生産、人口動態、貧困率などのチャートを紹介しながら、アフリカ大陸での地域統合の強化と同時に、国内における所得格差の是正や、国民に平等な機会を提供する必要があると述べました。さらに、「政策や成長戦略の違うアフリカ諸国には、現状に満足せず、強い意志を持ったプラグマティックな考えを持ったリーダーが不可欠である」と指摘し、それによって雇用や持続的かつ高度な成長を遂げるアフリカを2050年までに実現できるであろうと締めくくりました。

パネルディスカッションでは、最初にジャネ氏が、TICAD V開催の年がアフリカ統一機構(OAU)創立60年の節目と重なることを述べ、2050年に向けたレポートがアフリカ開発の将来の優先順位となるべき指針を提示している、と評価しました。同氏は、発表の中で、将来のアフリカにおいて明確な展望を持ったリーダーが開発戦略を構築することや、関税同盟などの地域統合の重要性を説きました。次にヌワンゼ氏からは、女性も巻き込んだ食糧の安全確保、競争力のある経済を実施するための海外投資などの資金や、農業開発、インフラ整備などの必要性を述べました。加藤所長からは、JICA(日本)が貢献できる分野として、食糧の安定化、人材開発、インフラ開発などを挙げ、JICAがケニアやモザンビークで実施している、インフラ、社会開発などを含めた包括的なプロジェクト事例を紹介しました。最後に勝氏は、アフリカ各国における開発課題は国毎に異なり、大陸としての視点から国ごとの視点での取り組みの検討と、長期的な戦略を持つことが重要であることを指摘しました。

質疑応答では、アフリカからの参加者から質問が相次ぎ、紛争との関連性の質問に対して、パネリストは、若年者の雇用機会の増大とガバナンスが解決の鍵であると回答すると同時に、地域統合なしに持続可能な成長はあり得ないと強調しました。

今回のサイドイベントを通じて得られたコメントや提言は、今後の最終報告書に反映され、6月21日と22日にコートジボワールで開催される予定の「Africa Emerging Markets Forum」で発表される予定です。

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左より、荒川理事、勝氏、ジャネ氏、ヌワンゼ氏、加藤所長、アーラース氏

ムービー・コメンタリー

  • Abdoulie Janneh / Former UN under- Secretary- General and Exective Secretary of UNECA
  • Kanayo F.Nwanze / The International Fund for Agricultural Development
  • 勝 茂夫 / Nazarbayev University, Kazakhstan

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