アフリカ開発銀行総会公式サイド・イベントで英文書籍「アフリカ2050年の長期展望」を発表

2014.06.10

5月20日、アフリカ、ルワンダの首都キガリで開催されたアフリカ開発銀行(AfDB)総会にて、JICA研究所と米国シンクタンクのセンテニアル社が共同で編集した英文書籍「Africa 2050: Realizing the Continent’s Full Potential」の発刊を記念した公式サイド・イベントが開催されました。

本サイド・イベントには、AfDBのRaymond Zate Zoukpo第一副総裁をはじめ、AfDB加盟各国政府の閣僚、世界銀行などの国際機関、シンクタンクなどから102名が参加し、JICAからは岡村邦夫上級審議役が出席し、冒頭挨拶と閉会挨拶を行いました。

本書は、2013年6月に横浜で開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD V)のサイド・イベントで、JICA研究所とセンテニアル社が発表した2050年のアフリカにおける経済・社会構造を予測した報告書に基づき、2014年1月にOxford University Pressから刊行されました。研究所からは、加藤宏所長が編者として参加し、須藤智徳主任研究員が気候変動に関する章を執筆しています。

本書では、2050年に向けてアフリカが人口の急増と急速な都市化に直面することを予測し、同地域の経済・社会秩序の安定には、余剰労働力を吸収し得るだけの職を継続的に創出していくことが不可欠であると指摘しています。さらに、アフリカの継続的な成長のためには経済構造の転換が欠かせないことや、民間セクターの投資活動を促進するための市場・投資環境の整備を行い、教育、保健サービスの拡充を通じて人的資本を形成していく必要性を説いています。

今回のイベントでは、編者の一人であるCallisto Madavo氏が、1990年代以降のアフリカにおける経済成長が、FDI(海外直接投資)の増加につながったものの、このような成長の成果は、改革が継続されなければ失われる恐れがあることを指摘した上で、本書に示されたアフリカの将来ビジョンが広く共有され、具体的な行動につながっていくことへの期待を述べました。引き続き、もう一人の編者であるTheodore Ahlers氏が、本書では3つの視点、すなわち(1)人々が豊かであること、(2)競争力のある経済、(3)アフリカ大陸の地域統合の可能性に基づいた具体的な行動計画を提案しており、その中でもとりわけ雇用が重要であることを説明しました。また、本書で示された提言を実現するためには、効果的な制度(Capable states, Strong Institutions, Rule of law)と、成果主義の現実的かつ行動力のあるリーダーシップが鍵であると指摘しました。

質疑応答では、2050年という長期的なアフリカの将来像を見据えて、各国大臣、要人の間で活発な議論が行われ、特に地域統合、通貨統合を含めた経済統合、民間セクターの役割に対して多くの意見やコメントが寄せられました。

開催情報

開催日時:2014年5月20日(火)
開催場所:アフリカ、ルワンダ

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