JICA研究員が「再生可能エネルギーの促進政策」について、環境資源経済学会第5回世界大会で発表

2014.07.10

6月29日から7月2日までの4日間、環境資源経済学会第5回世界大会(World Congress of Environment and Resource Economists: WCERE)がトルコのイスタンブールで開催されました。JICA研究所からは、成田大樹研究員が参加し、再生可能エネルギーの促進政策に関する共同論文の発表を行いました。

本学会は、環境資源経済学に関する最新の研究成果や知見の共有、ネットワーク構築を目的としており、世界各国から1000人以上の参加者が一堂に会しました。本イベントでは、学術的な論文発表とともに、政策問題に関するパネルディスカッションも行われました。

成田研究員は「Electricity Markets」と題されたパラレルセッションで、ドイツ、キール大学のTill Requate教授との共著による論文「Who Gains from Removing Price Volatility Risk from RES-E Operators?」の発表を行いました。二酸化炭素排出量を抑制するため、各国は再生可能エネルギーの利用促進を目的として、助成政策を実施しています。その代表的なアプローチとして、固定価格買取制度などの価格補償と、電力会社に一定割合で再生可能エネルギーの導入を義務づけるRPS(Renewables Portfolio Standard)などの固定枠(クォータ)制があります。これまで一般的には、事業者の投資リスクを緩和することから、価格補償政策がより多くの事業者参入を実現するとされてきました。

本論文は、化石燃料や原子力発電といった従来型の発電または再生可能エネルギーによる発電に生産コストのリスクがある環境下において、固定価格買取制度の効果を、固定枠制と相対的に比較しながら分析しています。分析結果は、生産コストのリスクを伴う特定の条件下においては、必ずしも価格補償が新規事業者の参入をより効果的に促進するとは限らず、政策オプションは柔軟に検討されるべきであることを示しました。

成田研究員は、今回の学会の結果を反映し、研究論文の最終化をRequate教授と共同で行うことになっています。また、本研究の結果はJICA研究所における気候変動に関するリスクマネジメントの研究にも今後活用される予定です。

※WCERE詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。

開催情報

開催日時:2014年6月29日(日)~2014年7月2日(水)
開催場所:トルコ、イスタンブール

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