アフリカ「アジェンダ2063」:アフリカ開発の長期ビジョンをテーマとしたセミナーに畝JICA研究所所長が参加

2015.02.20

2015年2月10日、アフリカ開発の長期ビジョンをテーマとしたセミナー「Toward Agenda 2063 – The Africa we want -」が南アフリカ、プレトリア市で開催され、JICA研究所からは、畝伊智朗所長が参加しました。

2013年に創設50周年を迎えたアフリカ連合(AU)は、2015年1月のAU首脳会合にて、包摂的成長と持続的開発に基づくアフリカの繁栄などを含んだ、2063年までのアフリカの政治、経済、社会に関する長期的ビジョン「アジェンダ2063」の枠組みに合意しました。このような背景を踏まえてJICAは、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)および南アフリカ安全保障研究所(ISS)と合同で、アフリカ開発の長期ビジョンを議論するセミナーを開催しました。

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大勢の参加者で埋まる会場

セミナーの冒頭では、在南アフリカ共和国日本国大使館や、南アフリカ国際関係協力省総局長の挨拶を行い、NEPADのマヤキ計画調整庁長官からのメッセージが共有されました。その後、アフリカ連合委員会(AUC)がアジェンダ2063の進捗の報告をし、引き続いて、ISSと米国シンクタンクのセンテニアル社による発表が行われました。センテニアル社は、JICA研究所と共同研究を行ったアフリカの長期的な経済社会変化のシミュレーションとこれに基づく提言を共有しました。

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パネリストとして登壇した畝所長

パネルディスカッションのセッションでは、畝所長がNEPAD関係者やシンクタンクの研究者とともにパネリストとして登壇し、日本の戦後復興、高度成長期における「経済審議会の役割」と「所得倍増計画」の事例を紹介しました。畝所長はこの中で、国民との対話というボトム・アップ・アプローチと、池田首相のトップダウン・アプローチの融合が計画の成功につながったと説明しました。また、アジェンダ2063の実現に向けて開発援助機関が果たすべき役割は、資金や技術などのリソースを提供する立場から、変化を促す「媒介者(カタリスト)」あるいは「ファシリテーター」としての役割に変化しつつあることを指摘し、たとえば今回のようなセミナー開催もその一環としてとらえることができると述べました。

セミナーには、現地の政策担当者や研究者を中心に約170名が参加し、アジェンダ2063と各国開発計画との調整や、科学技術の重要性に着目したアフリカ経済の構造転換のありかたや方向性について、活発な議論がなされました。

JICA研究所がセンテニアル社ととりまとめたアフリカの長期的な経済変化のシミュレーションと提言は、2013年6月横浜で開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD V)にて発表され、その後『Africa 2050 --- Realizing the Continent’s Full Potential』と題する書籍として、2014年1月Oxford University Pressから出版されています。

開催情報

開催日時:2015年2月10日(火)
開催場所:南アフリカ

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