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Think20サミットで日本のSDGsへの取り組みとアフリカ支援の知見を共有

2018.11.06

2018年9月17、18日に、アルゼンチンのブエノスアイレスでThink20(T20)サミットが開催されました。JICA からは藤田安男研究所副所長と中田亮輔チーフエコノミストが出席し、また、政策研究大学院大学(GRIPS)の大野泉教授(当時。現JICA研究所長)を有識者として招聘しました。

T20は、G20のエンゲージメント・グループ(アジェンダや機能ごとに形成された複数の民間団体)の一つであり、シンクタンクや研究者がG20への政策提言を行うものです。T20は、毎年、G20サミット議長国のシンクタンクが主催して運営されています。

今回のT20サミットには、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授、国連アフリカ経済委員会のベラ・ソングウェ事務局長(兼国連事務次長)などの著名な有識者を含む、68カ国から約1000人の研究者や専門家が参加。会議冒頭には、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領に政策提言書が手渡されました。同提言書は、多国間主義の課題克服に向けた協力の重要性を強調し、多国的貿易システムの再構築、気候変動に係るパリ協定の実施、新たな社会構造の構築(不平等、ジェンダー平等、デジタル時代への対応など)が必要であるとした上で、代表性・多様性・柔軟性を持つG20は、これらの問題に対応するに適した国際フォーラムであるとして、協調行動を求めました。また、会議では、最近の貿易摩擦、自国第一主義、社会問題を懸念する意見が聞かれました。

2019 年の G20議長国は日本であり、T20も日本が主催します。T20日本では10の課題タスクフォースが立ち上げられます。そのうち、JICA 研究所は「持続可能な開発のための2030アジェンダ(Sustainable Development Goals: SDGs)」 と「アフリカとの協力」の2つのタスクフォースを担当します。今回の会議では、これら2つのタスクフォースに関連する議論に参加するとともに、T20日本における政策提言に向けた関係者との意見調整を行いました。特に、大野教授と藤田副所長は、パネル・ディスカッションにパネリストとして出席しました。

2019年のT20が日本で開催されることも紹介された

大野教授はパネル・ディスカッション「National Implementation of the 2030 Agenda in the G20」に登壇し、各国の2030アジェンダの実施状況や体制、実施推進のためのG20として共通様式での報告の可能性などについて、ドイツ、フランス、インド、メキシコからの出席者と議論しました。大野教授は、日本の取り組みの特徴として、「日本型SDGsモデル」の追求、全政府的アプローチの採用とマルチステークホルダーの関与(円卓会議)、SDGs実施指針が定める8つの重点分野での国内課題と国際協力のリンクを意識した活動などを紹介しました。また、日本の課題として、社会全般においてSDGsに対する認知度を高めていく必要性も指摘しました。

藤田副所長はパネル・ディスカッション「Cooperation with Africa」に出席し、ドイツ、インド、南アフリカ、国連からの出席者と、G20およびG20各国によるアフリカ支援の方向性と課題について議論しました。藤田副所長は、アフリカに関わる日本政府の方針「自由で開かれたインド・太平洋構想」、1993年から日本政府が主導している「アフリカ開発会議」(Tokyo International Conference on African Development: TICAD)の取り組み、TICAD 7が2019年8月に開催されることを紹介。そして、TICAD VIの3つの重点分野—経済の多角化および工業化(質の高いインフラ、人材育成など)、保健システムの改善、若者の人材育成などを通じた社会の安定—に言及しつつ、このような分野が、2019年のG20やTICAD 7でも取り上げられる可能性が高いと述べました。

パネル・ディスカッションに参加したGRIPSの大野教授(右から2人目)

JICA研究所は、日本や世界のシンクタンクや研究者と連携し、2019年のG20に向けたT20の政策提言の作成に貢献していきます。

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