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G20への政策提言に向けたT20インセプション会合開催—大野研究所長がパネルディスカッションに参加

2018.12.28

2018年12月4、5日の2日間にわたり、「T20 Japan 2019」のインセプション会合が東京で開催され、世界中のシンクタンクから約200人の研究者らが参加しました。

T20(Think20)は、G20のエンゲージメント・グループ(アジェンダや機能ごとに形成された団体)の一つで、シンクタンクや研究者がG20への政策提言を行うものです。日本は、2019年6月に大阪で開催されるG20サミットで初めて議長国を務めます。T20 Japan 2019も日本のシンクタンク(アジア開発銀行研究所(ADBI)、日本国際問題研究所、国際通貨研究所)の主催で運営されます。

世界中のシンクタンクから200人を超える研究者らが参加し、活発な議論が行われた

今回のインセプション会合は、T20 Japan 2019の最初の行事で、4日に全体会合、5日に10のタスクフォースごとに議論する分科会が開催されました。JICA研究所は、タスクフォース1「持続可能な開発のための2030 アジェンダ(SDGs)」と、タスクフォース5「アフリカとの協力」を担当しています。

4日午前には、山田賢司外務大臣政務官が「G20の“アイデア・バンク”であるT20による政策提言に期待する」と開会のあいさつをし、アジア開発銀行の中尾武彦総裁や日本国際問題研究所の佐々江賢一郎理事長によるスピーチが行われました。続いて、「T20: Role of Think Tanks for G20(T20:G20にとってのシンクタンクの役割)」をテーマにしたパネルディスカッションがスタート。ADBIの吉野直行所長の進行のもと、著名な学識経験者が参加し、議論が行われました。各パネリストは、昨今の国際情勢のもと、政治的なしがらみを持つG20では歩み寄りが難しい課題にも、シンクタンクコミュニティーは科学的エビデンスに基づいた分析で合意の構築を促進し得るため、その果たす役割は大きくなっていると指摘。会場を巻き込んだ議論が展開され、T20としてG20への影響力をどう高めていくかという課題が提起されました。

4日午後には、国際通貨研究所の渡辺博史理事長のあいさつに続き、冨田浩司G20サミット担当大使が登壇。2019年のG20では、アルゼンチンG20での成果を継続し、持続可能な成長に向けた協調に立ち戻ることをプライオリティーとして挙げ、T20との協働に期待を示しました。

さらに、ADBIの吉野所長によるT20の10のタスクフォースの紹介やコロンビア大学のジェフリー・サックス教授のビデオメッセージに続き、「Sustainable Development and Inclusive Growth(持続可能な開発と包括的成長)」をテーマにしたパネルディスカッションが開催され、JICA研究所の大野泉研究所長がパネリストとして参加しました。

はじめに、議長を務めたキール世界経済研究所のデニス・スノーアー所長が「SDGs達成に向けて多国間で協調していくために、シンクタンクはどのような行動がとれるか。パラダイムチェンジのための経済、環境、政治、社会の4つの持続可能性を結びつけていくことが必要とされている」という大きな視点を示しました。

パネルディスカッションに登壇したJICA研究所の大野泉研究所長(左端)

大野研究所長は、まずは確実な行動から始めることが重要と示した上で、日本のSDGsの取り組みについて、「日本政府は、日本独自のSDGsモデル構築のために、首相官邸にSDGs推進本部を設置し、国内外の課題を含む8つのプライオリティーを掲げている。JICAは日本の開発の経験を開発途上国支援に生かしながら、グローバル、そしてローカルな課題の解決にも貢献していきたい」と説明。また、タスクフォース1「持続可能な開発のための2030 アジェンダ(SDGs)」の共同議長の立場から、「タスクフォース1の重要な視点は、“誰一人取り残さない”。政策提案に向け、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)、教育、ガバナンス、民間セクターの役割、ジェンダーという5つの政策分野に絞って、人間中心のアプローチ、専門家ネットワークの活用、分野横断的な課題、継続性と変革などを意識して進めていく」と今後の方向性を述べました。

最後に、ADBIの吉野所長が閉会のあいさつを行い、全体会合は終了しました。

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